第27回東京国際映画祭(TIFF)レポート<短評/星取>



10/23〜10/31まで開催する、第27回東京国際映画祭(TIFF)のレポートを随時こちらにまとめて行こうと思います。

基本的にコンペティション部門を中心に、鑑賞作品の短評と星取り(★5つ満点)を書いていきます。


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<コンペティション部門>
『1001グラム』……★
短評:独特のベント・ハーメルのリズム感で、ミニシアターファンの心は掴むであろうが、それ以上の大きな爆発力は無く。ユーモラスさにも欠ける。

『神様なんかくそくらえ』……★
短評:いい意味でも悪い意味でも不愉快になる。80年代から90年代に作られたアメリカのインディペンデント映画を彷彿とさせつつも、パンチ力不足。これがグランプリとは……。

『アイス・フォレスト』……★★
短評:エミール・クストリツァが主演ということに対する違和感はさて置き、映像的な美しさは見事。プロットが少々地味すぎやしないだろうか。

『ロス・ホンゴス』……★★★★
短評:現在のアメリカや日本といった映画先進国では再現不可能な、生き生きとした青春ドラマ。音楽、アート、すべての分野において芸術的でパワフルであった。

『草原の実験』……★★★★★
短評:台詞を排除しての、映像の追求。映画的な表現に加えて、太陽を用いた遊びなど、かなり細部に至るまでこだわり抜かれている傑作。ラストの衝撃に言葉を失う。

『メルボルン』……★★
短評:『別離』の下位互換にすぎない。宗教的言及が乏しく、イラン映画の勢いはまだ衰えてはいないにしても、登場人物たちの人間性があまりにも不本意である。

『紙の月』……★★
短評:スローモーションの多様が物語の躍動感を削ぐ。宮沢りえの好演もさることながら、脇の演技陣が際立っている。原作からはかなり脚色されている印象。で、なぜ94年?


『破裂するドリアンの河の記憶』……★★★★
短評:マレーシアの新鋭による意欲作は、映画的表現が全面に押し出され、マレーシア映画の入門編としても十分なできばえ。もっとタイトにしたら尚更面白さが増すだろう。

『壊れた心』……★
短評:映像と、音楽。音楽と、映像。この一騎打ちで物語が入ってこない。台詞が少なく、クリストファー・ドイルのキャメラは巧いが、それに尽きる。

『遥かなる家』
『マルセイユ・コネクション』
『来るべき日々』
『ザ・レッスン/授業の代償』
『マイティ・エンジェル』
『ナバット』

<特別招待作品>
『もしも建物が話せたら』……★★
短評:あくまでもテレビ用ドキュメンタリーの領域から脱せず。肝心の建築物の歴史や風土などといった、もっとも興味をそそられる部分を重要視せず、安っぽい。ヴェンダースのパートは観る価値あり。

『花宵道中』……★
短評:撮影と照明は安定していたが、それ以外が酷い。とくに台詞の薄さ、プロットの陳腐さ。観ていられない。安達祐実以外に見所がない。

<ワールドフォーカス>
『共犯』……★★★★★
短評:台湾映画史にチャン・ロンジーの名前が刻まれるであろう大傑作。少女の自殺から始まる青春群像にもどかしさを感じ、現代的なアプローチと、古典的な方法論が融合した見事なプロットに悔しささえ感じる。

『黄金時代』……★★★★
短評:安定したアン・ホイの演出力に、180分弱の長さを感じない巧みな年代記。あらゆる登場人物たちの語りを中心とした作りが、若干のくどさを感じてしまうが、許容範囲内。

『ハングリー・ハーツ』……★★★★★
↑リンク参照

『フリー・フォール』……★★
短評:古典的なギャグを並べただけの、何だか低俗な作品ではあるが、前半のエピソードのシュールレアリスティックな感触は好印象。しかし、90分無いのに飽きる。

『ツーリスト』……★★★★
短評:シニカルな笑いと、苛立ちを感じさせながらも、映像的な反復と、音響の遊びで魅了する。オストリュンド監督ならではの、実験的でもありながら、非常に卓越した映画。

『ミッドナイト・アフター』……★★★★★
↑リンク参照


<CROSSCUT ASIA 魅惑のタイ>
『コンクリートの雲』……★
短評:長回しの演出が少々締まっていない。時代背景があまり感じられないことと、途中でカラオケ画面が始まることに退屈さを禁じ得ない。




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