第27回東京国際映画祭(TIFF)「アジアの未来」「ワールドフォーカス」部門ラインナップ紹介

つづいて、「アジアの未来部門」と「ワールドフォーカス部門」を軽く紹介します。

それぞれ、一覧と、注目作をピックアップしようと思います。




アジアの未来部門

『雲のかなた』“Above the Clouds”(フィリピン) 監督:ペペ・ジョクノ
長編デビュー作『Engkwentro』で2009年のヴェネツィア国際映画祭ルイジ・デ・ラウンレンティウス賞に輝いたペペ・ジョクノの新作。

『ツバメの喉が渇くとき』“As the Swallows Got Thirsty”(トルコ) 監督:ムハンメット・チャクラル
今年注目のトルコ映画界から、自然み豊かな作品。

『あの頃のように』“As You Were”(シンガポール) 監督:リャオ・チエカイ
2010年の全州国際映画祭で審査員特別賞に輝き、東京国際映画祭でも上映された『赤とんぼ』のリャオ・チエカイ監督の4年振りの新作です。

『ゼロ地帯の子供たち』“Borderless”(イラン) 監督:アミールフセイン・アシュガリ
名匠アボルファズル・ジャリリがサポートしている本作。子供を撮ることに長けているジャリリの空気感が何処まで出ているのか気になるところ。

『太陽を失って』“In the Absence of the Sun”(インドネシア) 監督:ラッキー・クスワンディ
成長著しいインドネシア映画界の期待の若手クスワンディの4年ぶりの新作。インドネシアでは6月に公開された。

『マンガ肉と僕』“Kyoto Elegy”(日本) 監督:杉野希妃
2年前に東京国際映画祭で特集上映が組まれた、女優から監督業やプロデュースまで幅広くこなす杉野希妃の長編監督デビュー作。

『遺されたフィルム』“The Last Reel”(カンボジア) 監督:ソト・クォーリーカー
こちらも急成長を遂げているカンボジア映画界から現れた女性監督クォーリーカーによる、「映画愛」の映画。

『メイド・イン・チャイナ』“Made in China”(韓国) 監督:キム・ドンフ
昨年の東京国際映画祭で話題になった『レッド・ファミリー』に引き続き、キム・ギドクが脚本を執筆した話題作。監督はギドクの『絶対の愛』で助監督を務めていたキム・ドンフ。

『北北東』“North by Northeast”(中国) 監督:チャン・ビンジエン
第15回福岡アジアフォーカスで上映された『窒息』のチャン・ビンジエンの新作。サスペンスコメディだそうです。

『ノヴァ〜UFOを探して〜』“Nova”(マレーシア) 監督:ニック・アミール・ムスタファ
UFO探しにいく青年たちの青春SFコメディ。なんだか意外と日本でソフト化とかされそうな雰囲気を持っている……。



以上10作品。すべて違う国から出品されているというバラエティに富んだラインナップです。
とくに注目なのは、シンガポールから来る『あの頃のように』でしょうか。
『メイド・イン・チャイナ』はチケット争奪戦になりそうですね。
個人的には『雲のかなた』も気になるところです。





ワールドフォーカス部門

『ツーリスト』“Turist” 監督:リューベン・オストルンド
<カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員特別賞>
<アカデミー賞外国語映画賞 スウェーデン代表作品>

『わかってもらえない』“Misunderstood” 監督:アーシア・アルジェント
<カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品>

『セルフ・メイド』“Self Maid” 監督:シーラ・ゲフェン
<カンヌ国際映画祭 批評家週間出品>



『実存を省みる枝の上の鳩』“A Pigeon Sat on a Branch Reflecting of Existence”  監督:ロイ・アンダーソン
<ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞>

『白夜と配達人』“The Postman's White Nights”  監督:アンドレイ・コンチャロフスキー
<ヴェネツィア国際映画祭 監督賞>

『ハングリー・ハーツ』“Hungry Hearts” 監督:サヴェリオ・コスタンツォ
<ヴェネツィア国際映画祭 男優賞・女優賞>

『闘犬シーヴァス』“Sivas” 監督:カーン・ミュジデジ
<ヴェネツィア国際映画祭 審査員特別賞>

『黄金時代』“The Golden Era” 監督:アン・ホイ
<ヴェネツィア国際映画祭 クロージング作品>
<アカデミー賞外国語映画賞 香港代表作品>

『シーズ・ファニー・ザット・ウェイ』“She's Funny that Way” 監督:ピーター・ボグダノビッチ
<ヴェネツィア国際映画祭 アウト・オブ・コンペ出品>


『十字架の道行き』“Stations of the Cross” 監督:ディートリッヒ・ブルッゲマン
<ベルリン国際映画祭 脚本賞>


『コーン・アイランド』“Corn Island” 監督:ギオルギ・オヴァシヴィリ
<カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭グランプリ>
<アカデミー賞外国語映画賞 グルジア代表作品>

『フリー・フォール』“Free Fall” 監督:パールフィ・ジョルジ
<カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭 監督賞>

『昔のはじまり』“From What is Before” 監督:ラヴ・ディアス
<ロカルノ国際映画祭 金豹賞>

『フラワーズ』“Flowers” 監督:ジョン・ガラニョ、ホセ・マリア・ゴエナガ
<サン・セバスチャン国際映画祭出品>

『ミッドナイト・アフター』“The Midnight After” 監督:フルーツ・チャン
<香港国際映画祭 オープニング作品>

『共犯』“Paetners in Crime” 監督:チャン・ロンジー
<台北映画祭 オープニング作品>


『リアリティ』“Reality”  監督:カンタン・デュピュー

『ヴォイス・オーヴァー』“Voice Over” 監督:クリスチャン・ヒメナス

『ワイルド・ライフ』“Wild Life” 監督:セドリック・カーン

『遺灰の顔』“The Face of the Ash” 監督:シャフワーン・イドレス

『アトリエの春』“Late Spring” 監督:チョ・グニョン

『オプーのうた 「大地のうた」その後』“Song of Apu” 監督:コウシク・ガングリ

『柔らかいステップ』“Tender are the Feet” 監督:マウン・ワナ



映画祭などで分けてみたので多少判りやすくなっているかと思います。

今回は、つい先日行われたヴェネツィア国際映画祭の金獅子、監督賞、男女優賞、審査員特別賞の作品や、カルロヴィヴァリとロカルノのグランプリ、近隣国の映画祭のオープニング作品といった、かなり豪華な顔ぶれ。

正直言うと、カンヌ組とベルリン組(まあベルリンは時期的に仕方ないが)が物足りない希もしますが。
カンヌのパルムドール『Winter Sleep』や、『Timbuktu』『White God』あたりが来てくれるかと思っていましたが、そうでもなく。

昨年4時間に渡る『北 歴史の終わり』が上映されたラヴ・ディアスが、今回は5時間半の作品で再上陸。しかも今回は上映機会が二回あるから安心ですね。

この部門での注目作は、もちろん金獅子の、と言いたいところですが、おそらく確実にロードショー公開すると思います。
5本選べと言われたら、

『ハングリー・ハーツ』
『ミッドナイト・アフター』
『共犯』
『闘犬シーヴァス』
『ツーリスト』

ですかね。


ちなみに、今回はタイ映画の特集上映もございます。
その中にある『先生の日記』をはじめとして、今回は上映作品の中にアカデミー賞外国語映画賞のエントリー作品が目立つ気がします。

タイ→『先生の日記』(CROSSCUT ASIA部門)
香港→『黄金時代』(ワールドフォーカス部門)
グルジア→『コーン・アイランド』(〃)
スウェーデン→『ツーリスト』(〃)
ノルウェー→『1001グラム』(コンペティション部門)

あ、5本しか無かったですね。



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