【2014年まとめ】2014年鑑賞新作ベスト30

それでは、今年の総決算でございます。毎年恒例の新作ベスト30です。
ここに含まれる作品の、基準は以下のとおり。




対象年(2014年)に鑑賞した、54分以上の商業映画・TVムービー作品・劇場用再編集版で、次の条件のいずれかを満たすもの。
1、対象年とその前年に制作された作品
2、対象年とその前年に国内で劇場初ロードショー(7日間)された、対象年を含む10年以内の作品
3、対象年とその前年に国内で未公開(7日間以上上映されていない)でソフトリリースされた、対象年を含む5年以内の作品
4、対象年に映画祭もしくは特集上映で鑑賞した、対象年を含む5年以内制作の作品
5、既公開の劇場版に対して、リマスターが施されたのみのものは上記の通りではない





該当作品は、172本
さて、第30位から順番にカウントダウンしていきます。












第30位『スノーピアサー』
(ポン・ジュノ監督)
今年の初め、もっとも期待していた本作。
蓋を開けてみれば、ツッコミどころはあれど気持ちのいいほど良くできた娯楽作。
ラストシーンが非常に好きですが、クロノールは食べたくないです。





第29位『ぼくを探しに』
(シルヴァン・ショメ監督)
過去に『ベルヴィル・ランデヴー』『イリュージョニスト』で年間ベストを獲得した
シルヴァン・ショメの長編実写デビュー作。面白かった!面白かったんだけど、
もっとアニメっぽさを出して欲しかった。実写に拘りすぎた感が強い。





第28位『おみおくりの作法』
(ウベルト・パゾリーニ監督)
2015年公開作からランクインした、やっと日本公開される話題作(だったやつ)。
久しぶりのレイチェル・ポートマンの音楽、エディ・マーサンの静寂の演技。
そして何より、反則技とも言えるラストカットはやられた。





 第27位『her 世界でひとつの彼女』
(スパイク・ジョーンズ監督)
これは今年のアカデミー賞作品賞候補作で最後に観た作品。なぜオスカー?と思ったが、
観てみたら納得。未来っぽさがない近未来描写を描いておきながらもとても切ない。
JLG『アルファヴィル』と同じ軌道上で別のベクトルに向いた愛の映画。





第26位『ダラス・バイヤーズクラブ』
(ジャン=マルク・ヴァレ監督)
上半期11位からしぶとく上位に残り続けた、今年のオスカーの台風の目。
マコノヒーとレトの復活を讃えるとともに、間違いなく傑作であったと断言できる。
それにしても、ジャレッド・レトの女装が可愛すぎた……。





第25位『2つ目の窓』
(河瀬直美監督)
苦手意識から『沙羅双樹』以来遠のいていた河瀬作品と再会した今年。
時間の流れを忘れさせる映像表現と、淡い青春模様に心打たれる。
それにしても、村上虹郎の将来が楽しみでならない。





第24位『草原の実験』
(アレクサンドル・コット監督)
東京国際映画祭で鑑賞。新作のロシア映画って、もしかすると結構久しぶりかも。
まったく台詞のない、映像と演者の動作だけで見せる作品でありながら、
一切の抜かりが無い卓越した出来栄え。96分間驚きの連続。





 第23位『ゴーン・ガール』
(デヴィッド・フィンチャー監督)
2000年以降、4度も年間ベストに選んできた好相性のフィンチャー作品。今年はここ。
物凄く、後味の悪いサスペンスであったが、もっとミステリーにして欲しかった。
あと、主演がベン・アフレックじゃなければもっと上位。





第22位『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
(マーティン・スコセッシ監督)
前作『ヒューゴの不思議な発明』でことごとく観客を馬鹿にしたスコセッシではあるが、
これは文句無しに面白い。180分の長尺を感じさせないスピード感に溢れ、
下品さを突き抜けた生々しさで圧倒する。





第21位『昔々、アナトリアで』
(ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督)
今年パルムドールに輝いたジェイランの3年前の映画を、
輸入したら未公開リリースされました。札幌に行けば劇場で観れたみたいです。
個人的にはジェイラン作品で2番目ぐらいに良くできた印象。ちょっと長い。





第20位『ぼくたちの家族』
(石井裕也監督)
昨年『舟を編む』で度肝を抜かされた石井裕也が、またしても珠玉の一本を発表。
見事な演技アンサンブルと、それを牽引する池松壮亮の幅の広さに心打たれる。
2014年を代表する日本映画の一本。





第19位『湖の見知らぬ男』
(アラン・ギロディ監督)
カイエが絶賛しても、当然のように日本公開絶望視されていたら、
さりげなく映画祭上映。公開できないのも納得のハードな作りながら、
ラストの森のシーンの冷やりとした空気感が癖になる。





第18位『叛乱者たち』
(ホルヘ・サンヒネス監督)
長年観たかったウカマウ集団作品とついに邂逅。
ありえない引力で惹きつける映像表現とキャメラの巧さ、
そして荒涼とした大地のショットにしびれる。





第17位『愛して飲んで歌って』
(アラン・レネ監督)
2014年3月1日にこの世を去った、私の心の師匠であるアラン・レネの最後の映画。
涙なしには見れない、なんてことはない。最後まで娯楽映画を貫いた!
でもラストの墓前のシーンは一生忘れられない宝物です。ありがとうございました。





第16位『ハングリー・ハーツ』
(サヴェリオ・コスタンツォ監督)
東京国際映画祭で鑑賞。ヴェネツィアで男優賞と女優賞のW受賞を果たした
二人の演技に加え、ロベルタ・マックスウェルを交えた三人のアンサンブルが見事。
夫婦愛と親子愛がぶつかり合う、背筋も凍るサスペンスです。






第15位『ハンナ・アーレント』
(マルガレーテ・フォン・トロッタ監督)
超久しぶりに観たトロッタ作品。一昨年10月公開でありながら、
超大ヒットロングランしたのも納得の、完膚なきまでに作り込まれた脚本と、
バルバラ・スコヴァの演技。映画ファンならずとも必見の怪作。





第14位『小さいおうち』
(山田洋次監督)
観終わった瞬間に、長年山田洋次に苦手意識を持っていたことを平謝り。
ストーリーテリングの巧さと、セットの美しさ。モノローグも完璧。
そして何より、黒木華が田中絹代にしか見えない。






第13位『ラッシュ/プライドと友情』
(ロン・ハワード監督)
今年一番最初のサプライズだった本作。ロン・ハワードは当たり外れが大きいが、
この手の娯楽作を撮らせたら一級品。ラストの飛行場のシーンは、
マイケル・カーティス『カサブランカ』のラストシーンを思い出した。





第12位『共犯』
(チャン・ロンジー監督)
東京国際映画祭で鑑賞。今年『光にふれる』に続くチャン・ロンジー作品。
青春群像と殺人事件の交錯を、飛び道具を使わずに真正面から描いた構成と、
救いの無さにひたすら揺さぶられる。是非とも日本公開を。





第11位『クローバー』
(古澤健監督)
おそらく今年一番騒いでいた映画はこれ。でもまさかのベストテン圏外。
『今日、恋をはじめます』と同じようでさらに進化をしている古澤ワールド。
ドキドキが止まらない傑作スラップスティックコメディ。





第10位『好きっていいなよ。』
(日向朝子監督)
今年のベスト少女漫画映画はこれ。幸福感に満ち溢れていてとにかくHappily。
女性監督が描く少女漫画映画の方が、自然体でしっくりくる。
正統派のラブストーリーとして、必見の一本。





第9位『ショート・ターム
(デスティン・ダニエル・クレットン監督)
昨年かなり話題をさらったインディペンデント映画が、満を持して日本上陸。
『17歳のカルテ』を思い出す、施設を舞台にした物語に、
あらゆる映画的要素が詰め込まれていて、爽快な居心地と、観終わった後の多幸感。
優れた脚本もよく、こういう映画をもっと観たい。





第8位『太陽の坐る場所』
(矢崎仁司監督)
現在の日本の監督の中で、最も信頼を置ける矢崎仁司監督の新作。
掴み所のない物語でありながら、多幸感にあふれた光の使い方に感銘を受ける。
鏡に反射する光を浴びる金網越しのシーンが最高。





第7位『美しい絵の崩壊』
(アンヌ・フォンテーヌ監督)
こちらもサプライズだった今年の隠れた傑作。カッティングの巧さと、
台詞の優秀さに加え、メインキャストである若い男性二人と女性二人のコントラストが
非常に繊細かつ的確に描かれている。巧い、その一言に尽きる。





第6位『イーダ』
(パヴェウ・パブリコフスキ監督)
次のアカデミー賞で外国語映画賞を間違いなく獲るだろうと言われている、
ポーランド映画の新時代を予感させるとてつもない傑作。
フレーミングのセンスと、ストーリーテリング、モノクロの撮影と照明が的確に活かされている。もっと上の順位でも良かったかも。。。





第5位『とらわれて夏』
(ジェイソン・ライトマン監督)
毎度当たり続きのジェイソン・ライトマンが、『JUNO/ジュノ』以来の超大当たり。
ウィンスレットとブローリンの演技が、途中の料理ショーの違和感を拭い去り、
スクリーンいっぱいに夏の蒸し暑さを感じさせるのに、なんでこんなに心地良いんだ。





第4位『グレート・ビューティー/追憶のローマ』
(パオロ・ソレンティーノ監督)
オスカーを始め、各方面で絶賛されているイタリア映画の新たなる宝。
ファーストカットから観れるキャメラのキレの良さで心奪われ、没頭せざるを得ない。
今年一番「映画」を遊び抜いているソレンティーノの本気の映像マジック。






第3位『あなたを抱きしめる日まで』
(スティーブン・フリアーズ監督)
一にも二にも、とにかく特別な映画。近年ここまでストレートに人の感情を刺戟する
映画があっただろうか。卓越したストーリーセンスと、台詞のウィットさ。
そしてジュディ・デンチの素晴らしい存在感。
100年後まで残る名作。今後何十回でも観たい。





第2位『MUD マッド』
(ジェフ・ニコルズ監督)
風の動きと水の動き、そして少年の心理的成長に銃撃戦。映画に必要な
ファクターを徹底的に詰め込みながら、時間経過に無理がない、ニコルズの演出力。
マコノヒーの映画であるが、タイ・シェリダンの映画でもある。
これぞまさにアメリカ映画といえる圧倒的存在感。






第1位『ミッドナイト・アフター』
(フルーツ・チャン監督)
今年の東京国際映画祭で最後に観た香港製SFコメディが、今年の最高の作品に。
90年代の香港映画黄金期を思い出させるユーモアと台詞のリズムの良さに加え、
人体損壊描写や「Space Oddity」の使われ方の巧さ、オープニングタイトルの格好良さ。
キャスティングの魅力も香港の街の魅力も全開。超一級品の娯楽映画!








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