【オスカー予想連載】第87回アカデミー賞予想:番外編 長編アニメーション部門エントリー作品チェック2

それでは、長編アニメーション賞の傾向と分析をしてみましょうと思います。


まずは前回リスト化した今年のエントリー20作品を、それぞれの制作・配給・製作国で見てみましょう。

<ディズニー>
『ベイマックス』
『ティンカー・ベルとネバーランドの海賊船』
『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』

<ドリームワークス>
『How to Train Your Dragon2』
『Mr. Peabody & Sherman』
『Penguins of Madagascar』

<FOX系その他>
『The Book of Life』
『Rio2』

<ワーナー>
『LEGO(R)ムービー』

<ライカ>
『The Boxtrolls』

<Gkids>
『ジョバンニの島』
『Song of the Sea』
『かぐや姫の物語』

<外国>
『Jack and the Cuckoo-Clock Heart』
『ミニスキュル〜森の小さな仲間たち』
『Rocks in my Pocket』

<その他>
『オズ めざせ!エメラルドの国へ』
『Cheatin'』
『Henry & Me』
『The Hero od Color City』


そこで、過去の長編アニメーション賞の一覧です。(小さくて見づらいかもしれません)

左側の赤字が最優秀賞受賞作で、残りがノミネート作品です。
こうやって一覧で見られるのも歴史が浅いからこそ。

で、これを制作会社(配給会社)に変換してみると、
ピクサー無双が一目瞭然ですね……。
意外なことに、昨年の『アナと雪の女王』で純ディズニーアニメは初の受賞だったわけです。

まずは、アメリカ外の国の作品を取捨していきましょう。
先ほどの表で、アメリカ以外の作品を色づけしました。
黄色→日本
薄青→ヨーロッパ

アードマンの作品はドリームワークスとコロンビアと跨いでます。
フランス作品はSPC(ソニーピクチャーズクラシック)かGkidsのどちらかで、
アイルランド映画『ブレンダンとケルズの秘密』もスペイン映画『チコとリタ」もGkids。
日本のジブリ作品はディズニーかGkidsで。

平たく言えば、外国作品はGkidsか、大手会社が配給しない限り候補入りはしないということです。
今年は6本の外国作品がありますが、Gkids以外の3本はまず消しても大丈夫ということ。(配給未定である、『ミニスキュル』はちょっと気になりますが)

さて、次はディズニー、ピクサー、ドリームワークス以外の扱いです。

上の表でもわかるように、
2001→ニコロデオン
2002→ブルースカイ
2005→ライカ
2006→ワーナー(受賞)、イメージムーバー
2007→ソニーピクチャーズ
2009→ライカ、FOX
2011→ニコロデオン(受賞)
2012→ライカ
2013→イルミネーション

との感じで、高確率で入ってきます。
とりあえず、ここで配給会社から考えると、
ニコロデオン→パラマウント
ブルースカイ→FOX
イメージムーバー→ソニーピクチャーズ
イルミネーション→ユニバーサル
ライカ作品はワーナー、ユニバーサル、フォーカス。
それぞれ実写映画の作品賞でも賞レースに来るお馴染みの会社ばかり。

それらがつかない、上のリスト<その他>の作品群も消去してOK。
Pranaが制作している『オズ』は気になりますが、同じ会社制作の『ティンカーベル』と兼ね合いも。
『Cheatin'』は個人作家会社で制作ですが、その例は『フランケンウィニー』の1回のみなので。『Henry&Me』はニューヨークヤンキースのご当地映画。アカデミー賞では東海岸は軽視されやすい。

続いて、「続編映画」を整理します。
過去に候補入りした「続編映画」は、
『シュレック2』=1作目が最優秀受賞
『トイストーリー3』=1、2作目の時にこの部門が無い
『ウォレスとグルミット』=短編部門総なめの人気シリーズ初の長編
『カンフーパンダ2』=1作目も候補入り
『怪盗グルーのミニオン危機一発』=超大ヒット
の5作品のみ。

今年のエントリー作品中の「続編映画」は4本。
『ティンカー・ベルとネバーランドの海賊船』=前4作すべて候補落ち
『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』=前作候補落ち
『How to Train Your Dragon2』=前作は史上最もハイレベルな年で惜しくも敗戦
『Rio2』=前作はアニメ候補落ちも、主題歌賞候補入り

これは『ヒックとドラゴン』の続編である『How to Train Your Dragon2』以外は厳しそうである。

同じく、スピンオフ作品でも、過去に『長ぐつをはいたネコ』が候補入りしているが、この部門お馴染みの『シュレック』のスピンオフ。以外にも一度も候補入りしていない『マダガスカル』シリーズのスピンオフ『Penguins of Madagascar』は分が悪い。


この時点で残ったのは9本。
『ベイマックス』(ディズニー)
『How to Train Your Dragon2』(ドリームワークス)
『Mr.Peabody & Sherman』(ドリームワークス)
『The Book of Life』(Chatrone/FOX)
『LEGO(R)ムービー』(ワーナー)
『The Boxtrolls』(ライカ/フォーカス)
『ジョバンニの島』(Gkids)
『Song of Sea』(Gkids)
『かぐや姫の物語』(スタジオジブリ)


過去にディズニー作品が1本もノミネートされなかったのは2005と2011の二度のみ。

2005年はここ数年でも極めて珍しいアニメ不作の年で、ディズニー代表は『チキン・リトル』。アニー賞から『ウォレスとグルミット』の初長編が熱烈に迎えられ、他の会社もその波に完全に負けた状態であった。

2011年はディズニーには『カーズ2』と『くまのプーさん』があったが、どちらも相手にされなかった。しかも、有力視されていた『タンタンの冒険』(ニコロデオン)や『アーサー・クリスマス』(アードマン)も落選し、かなり異様なラインナップになっている。

考えるに、『ベイマックス』が『カーズ2』と『チキン・リトル』のようなディズニーの中でも失敗作扱いされているような映画と同列とはとても考えられないので、ノミネートは安泰かと。
そうなると、それに真っ向から立ち向かえるポテンシャルを持つのは何と言っても『How to Train Your Dragon2』。前作の雪辱を晴らす絶好のタイミングである。ドリームワークスはこれ一本に絞ってくる可能性が高い。

この2本をロック状態として、問題は今年も5本ノミネートされるのかどうか。不作の年か、かなりレベルの高い年以外は基本的に5本になりそうなこの部門。仮に3作品で落ち着いたとしたら、もう一本は大ヒット作『LEGO(R)ムービー』と、近年波に乗るGkidsが送り出す『かぐや姫の物語』で壮絶な争いになる。おそらく、この2本+1本で例年通りの5作品候補になるだろう。
そうなると、可能性があるのはライカの『The Boxtrolls』が最有力で、次点が『Song of Sea』である。



<ノミネート予想>
『ベイマックス』
『How to Train Your Dragon2』
『かぐや姫の物語』
『LEGO(R)ムービー』
『The Boxtrolls』
---------------------(Nomination Line)--------------------

『Song of Sea』
『ミニスキュル〜森の小さな仲間たち』
『The Book of Life』
『ジョバンニの島』
『Mr. Peabody & Sherman』




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