【オスカー予想連載】第87回アカデミー賞予想1:主演男優賞

各部門の予想を細かく見て行きましょう。

第1回の今回は、「主演男優賞』

近年の受賞者を振り返ってみると、
第86回 マシュー・マコノヒー『ダラス・バイヤーズクラブ』
第85回 ダニエル・デイ=ルイス『リンカーン』
第84回 ジャン・デュジャルダン『アーティスト』
第83回 コリン・ファース『英国王のスピーチ』
第82回 ジェフ・ブリッジス『クレイジー・ハート』

近5年で見てみると、受賞者5人のうち、ブリッジス以外は作品賞候補作で受賞しているわけですね。
昨年のノミネート予想を振り返って、データをおさらいしてみましょう。

http://bandeapartk23.blogspot.jp/2013/11/86.html


・知名度の低い俳優が突然ノミネートされる(近10年ではテレンス・ハワード、ライアン・ゴズリング、ジェレミー・レナー、ジェシー・アイゼンバーグ、デミアン・ビチル、ジャン・デュジャルダンあたり)

・昔流行ったスター役者が突然復活してくる(昨年のマコノヒー、ブルース・ダーン以外にも、ゲイリー・オールドマン、ジェフ・ブリッジス、リチャード・ジェンキンス、ピーター・オトゥールなど)

では、今年該当するのは誰か。

筆頭はやっぱりこの人。

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の新作コメディ『Birdman』で主演を務めるマイケル・キートン。惜しくもヴェネツィア国際映画祭では男優賞を逃しましたが、作品の評価が近年の喜劇の中でもすこぶる高く、ノミネート最有力という位置でしょう。


ところで、
2013年→4/5
2012年→2/5
2011年→1/5
2010年→3/5
この数字を見て、ピンと来た方はオスカー通ですね。

90年以降では、97年と03年を除き必ず毎年「実在の人物」を演じた俳優がノミネートされているのである。
今年の注目作で、実在の人物を演じている役者をピックアップしたい。
まずは、公開が延期されていたベネット・ミラーの『Foxcatcher』からスティーブ・カレル
お前本当にスティーブ・カレルかよ?って聞きたくなる程、『ゲット・スマート』感ゼロの怪演で、世界中をハラハラさせています。彼が演じるのは、レスリングの金メダリストデイブ・シュルツを射殺する、化学品メーカーの御曹司ジョン・E.デュポン。統合失調症を患っていたという彼の役を、今までの喜劇役者のイメージを吹っ飛ばす演技で観せてくれます。そういえば、オスカーはこの手の役柄に弱いはず……。


もう1人、実在の人物を演じている役者と言えば、マイク・リーの『Mr.Turner』ティモシー・スポール。え?名前聞いても知らない?そんなはずはない。
ほら。

見たことありますよね。『ハリー・ポッター』のピーター・ペティグリュー役が最も有名ですが、この特徴的な顔は絶対に一度は観たことがあるはず。
今回彼が演じているのは、19世紀の画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー。「トラファルガーの戦い」とか有名ですよね。
今年のカンヌで男優賞に輝いた彼は、その時点ですでにスティーブ・カレルに一勝しているわけで。
近年カンヌの男優賞を獲った役者は、ブルース・ダーン、ジャン・デュジャルダン、ハヴィエル・ヴァルデム、クリストフ・ヴァルツと、好確率でオスカーの候補入り。これは期待できそう。

ここまでの3人をLOCK状態として、残りの二枠を考えましょう。


まずここで取り上げるデータは、5枠中のアメリカ人俳優の数です。
アカデミー賞主演男優賞が5枠に固定されたのが第8回から。それ以後、昨年までの間で、5枠中に占めるアメリカ人俳優の数が以下の通り→

5/5→10回
4/5→27回
3/5→28回
2/5→11回
1/5→2回
0/5→1回

ローレンス・オリヴィエやピーター・オトゥール、アンソニー・ホプキンス、マイケル・ケインなどの名優が揃う時代の英国俳優に多少押された時期もありましたが、基本的には3枠はアメリカ人俳優が獲れると思って間違いないかと。

しかし、厄介なことに、残りの2枠を狙う俳優の多くが、イギリス人俳優だということ。
まず筆頭はマーティン・ティルダムの『The Imitation Game』から人気俳優のベネディクト・カンバーバッチ。これも実在の人物ですね。

そしてオスカーノミネート経験もある実力派、レイフ・ファインズはウェス・アンダーソンの『グランド・ブダペスト・ホテル』から。

そして若手から、ジェームズ・マーシュの『The Theory of Everything』エディ・レッドメインも名乗りを上げている状態。これまた実在の人物ですね。

ただ主演男優賞に関して言えば、オスカーノミネート経験のない役者だけで埋め尽くされたことは久しくないので、そう考えると、残りの2枠のうちひとつは堅いのではないだろうか。

オスカー候補経験者で有力どころを探すと、一昨年ノミネートされた『ザ・マスター』と同じポール・トーマス・アンダーソンとコンビを組む『Inherent Vice』ホアキン・フェニックス
あとはオスカー作品の監督でもあり、脚本賞で受賞経験のあるベン・アフレック『ゴーン・ガール』(デヴィッド・フィンチャー監督)ぐらいだろうか。

ティム・バートンの『Big Eyes』クリストフ・ヴァルツが主演と助演のどちらのプッシュになるのかでまた少し変わってくるかも……(ワインスタインはカンバーバッチを押すためにヴァルツを助演に回してくるかも……)


追記:『Selma』が大絶賛で迎えられているので、今年も黒人俳優のノミネートが可能性高まる。デヴィッド・オイェロウォを上位に。


◯主演男優賞ノミネート予想

マイケル・キートン『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
スティーブ・カレル『Foxcatcher』
ティモシー・スポール『Mr.Tuener』
デヴィッド・オイェロウォ『Selma』
エディ・レッドメイン『The Theory of Everything』

――――――――(Nomination Line)――――――――

<Possible>
ベネディクト・カンバーバッチ『The Imitation Game』
ベン・アフレック『ゴーン・ガール』
レイフ・ファインズ『グランド・ブダペスト・ホテル』
ホアキン・フェニックス『Inherent Vice』

<Longshot>
エラー・コルトレーン『6歳のボクが、大人になるまで』
ロバート・ダウニー・Jr. 『The Judge』
マシュー・マコノヒー『インターステラー』
ジェームズ・マカヴォイ『The Disappearance of Eleanor Rigby』
ブラッド・ピット『フューリー』
チャドウィック・ボウズマン『Get on Up』

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