【予想】第86回アカデミー賞各部門予想1:主演男優賞

毎年個人的にやっております、アカデミー賞予想。
今年はどの部門も例年以上の混戦の様相ですので、ひとつひとつ重点的に予想を組立てていこうと思います。


まず第1回目の今日は主演男優賞から。

近年の受賞者は以下の通り。

第85回:ダニエル・デイ=ルイス『リンカーン』
第84回:ジャン・デュジャルダン『アーティスト』
第83回:コリン・ファース『英国王のスピーチ』
第82回:ジェフ・ブリッジス『クレイジー・ハート』
第81回:ショーン・ペン『ミルク』


俳優賞の中でも目玉といえるこの部門ですが、最近3年間は意外なことにアメリカ人以外の役者が受賞している結果に。

この部門の特徴ともいえるのが、
・ほとんど知名度のない俳優がいきなりノミネートされてくる
・昔流行ったスター役者がいきなりノミネートされてくる

のどちらかが毎年該当すること。

そして、作品賞との直接的な関連性で、主演女優賞と比べて作品賞受賞作と同作品からの受賞が倍以上(27回)あることなのですが、21世紀に入ってからはたった2回しかないのが気にかかるところ。


つまりは、
・近年は作品評価よりもその役者の演技を正当に評価される。
・そのため国籍もキャリアも問わずノミネートの可能性が高い。


たとえば昨年のデンゼル・ワシントン『フライト』は、作品の評価が伸び悩むも、候補入り。一昨年はベテランのゲイリー・オールドマンが『裏切りのサーカス』で初候補に挙り、また『明日を継ぐために』のデミアン・ビチルが候補入りして大騒ぎになりました。


という前提の上で、今年の有力どころを紹介します。

まずは最有力候補『12Years a Slave』のキウィテル・イジョフォー



 作品の評価もすこぶる高いですが、彼の演技の評価がずば抜けて高いのも事実。
ちなみに今年の有力候補者で唯一のイギリス人なので、イギリス票と黒人票が集中することは確実(後者は多少分散するかもですが)。

気になる点はひとつだけ。過去のデータで黒人俳優のこの部門受賞は、第36回のシドニー・ポワチエ『野のユリ』以外の年で、黒人俳優が2人候補入りしているケースしかないこと。

第74回デンゼル・ワシントン『トレーニング・デイ』(ウィル・スミス『ALI』)
第77回ジェイミー・フォックス『Ray』(ドン・チードル『ホテル・ルワンダ』)
第79回フォレスト・ウィテカー『ラスト・キング・オブ・スコットランド』(ウィル・スミス『幸せのちから』)


故に、今年彼が受賞を安心できるのは『大統領の執事の涙』のフォレスト・ウィテカーが候補入りしたら、という条件付きなのかもしれない。
そんな期待が寄せられるフォレスト・ウィテカーも、候補入り可能性は充分。

毎年のように実在の人物を演じる俳優が何らかの俳優部門で受賞するのがオスカーのジンクス。なかでも主演男優賞は、近年は1年置きのペースで実在の政治関係者 が受賞している。
今年は8人の大統領に仕えたユージーン・アレンを演じた彼がそれに当たる。あれ、さすがに二年連続は無いか……。




もう一人、実在の人物を演じるのは、過去に2度の主演男優賞に輝く彼。
そうですトム・ハンクス『キャプテン・フィリップス』です。

『フィラデルフィア』『フォレスト・ガンプ一期一会』で2年連続受賞してからも順調にキャリアを伸ばしている彼が、6度目の候補入りに王手をかける。
昨年ダニエル・デイ=ルイスが初の3度目の主演男優賞を獲得したからには、それに並ぶのではと期待が膨らむ。




一方で、無冠の大スターが今年はダークホースとして隠れているのである。
『スティング』以来の俳優部門での候補入りがかかる、ロバート・レッドフォード『オール・イズ・ロスト 最後の手紙』だ。

近年はもっぱら監督業のイメージも定着している彼だが、やはりスター俳優としての貫禄は充分。
未だにオスカー経験が自身の監督作『普通の人々』の監督賞と作品賞。そして2001年には名誉賞も受賞するが、俳優としての候補は40年前の『スティング』一回きりである。



彼ら有力どころを全部吹き飛ばすほどの強力なコンテンダーが今年いるとするなら、それは間違いなくマシュー・マコノヒー『ダラス・バイヤーズ・クラブ』であろう。


実在のHIV感染者ロン・ウッドルーフを演じるために大幅に減量をしたマコノヒー。
・実在の人物
・HIV患者
・役作りのための大幅な減量
・近年の再ブレイク
と、アカデミー賞が好きそうなフレーズが並ぶ彼。これは前哨戦の勝ち星次第では逆転受賞も夢ではない。



おまけで、昨年の候補者から今年も候補入りしそうな2人を紹介。
まずは昨年『ザ・マスター』で主演男優賞候補入りするも、のちのちの問題発言から干されまくったホアキン・フェニックス。今年はスパイク・ジョーンズの『Her』で参戦。
パソコンのOSに恋する奇特な役柄だが、そのOSを演じた(声だけ)スカーレット・ヨハンソンがローマ国際映画祭で女優賞を受賞するというまさかの事態が発生。それだけ評判がいいならもしかして……。

もうひとり、昨年のオスカー授賞式でのパフォーマンス、数年前の授賞式ホストでの活躍が記憶に新しい新時代のスター、ヒュー・ジャックマンも、今年は『Prisoners』が待機。
『灼熱の魂』で外国語映画賞候補に挙がるカナダの新星ドゥニ・ヴィルヌーヴのハリウッドデビュー作で、ジェイク・ギレンホールと共演。こちらも気になるところ。

ちなみに二年連続のノミネートと言えば、ここ10年ではラッセル・クロウ、ジョニー・デップ、コリン・ファース、ジェフ・ブリッジスぐらい。まああってもおかしくないレベルだろう。
他に気になるのは、ブルース・ダーン『ネブラスカ ふたりの心をつなぐ旅』オスカー・アイザック『Inside Llewyn Davis』ぐらいか。






総合的に予想はこちら↓↓

(LOCK)
◎ マシュー・マコノヒー『ダラス・バイヤーズクラブ』
◯ キウィテル・イジョフォー『12Years a Slave』
▲ トム・ハンクス『キャプテン・フィリップス』
△ ロバート・レッドフォード『オール・イズ・ロスト 最後の手紙』


(残り1枠)
1.ホアキン・フェニックス『Her』
2.フォレスト・ウィテカー『大統領の執事の涙』
3.ブルース・ダーン『ネブラスカ ふたりの心をつなぐ旅』
4.オスカー・アイザック『Inside Llewyn Davis』
5.ヒュー・ジャックマン『Prisoners』




★★★次回は「主演女優賞」予想を掲載予定。

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