第89回アカデミー賞ノミネート予想:3

前々回の作品賞ほか、前回の演技4賞につづいて、今回は作品に大きな影響を与える4つの賞について予想を立ててみたいと思います。


●脚本賞
『ラ・ラ・ランド』
『最後の追跡』
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
『ジャッキー ファーストレディ最後の使命』
『ロブスター』


脚本家組合賞にノミネートされた5作品のうち、2作品が本戦では脚色賞に回るということを考えると、残る3作品はそのままノミネートされる可能性が高いだろう。
となると、残りの2作品がどうなるか。脚本が作品自体にもたらす影響の大きさを示すように、これまでの候補作品は作品賞と重なる部分が大きい。とはいえ、昨年の『ストレイト・アウタ・コンプトン』『エクス・マキナ』のような、ずば抜けて優れた脚本を評価する傾向もあれば、『インサイド・ヘッド』のようにアニメーションから、『別離』のように外国語作品からノミネートされることもある故、一筋縄ではいかない。
いずれにしても、オリジナル性が評価されるのは脚色賞よりも脚本賞。前作で外国語映画賞候補になったギリシャの新鋭ヨルゴス・ランティモスの『ロブスター』の脚本への高い評価は、アルモドバルの『ジュリエッタ』のそれよりも上回っていて、なかなか見過ごすことはできないだろう。
もう1作品、アニメから『ズートピア』も捨てがたいが、手堅く作品評価もそれなりに高い実写作品から『ジャッキー』を選びたい。



●脚色賞
『メッセージ』
『ムーンライト』
『LION/ライオン』
『Fences』
『Hidden Figures』

一方で、脚本賞よりも保守的(きこえは悪いが、作品賞との合致率は近年高くなっている)なこちらでは、まずは脚本家組合賞の脚色部門に入った『メッセージ』『Fences』『Hidden Figures』をピックアップ。この3本は作品賞への候補の可能性も高い。
そして、脚本部門にノミネートされた『ムーンライト』は確実にこちらでノミネートとなるだろう。『ラビング 愛という名のふたり』がどうなるかが一つの課題であり、そして『Nocturnal Animals』の扱いもまた難しいところであろう。
この2作よりは、作品賞への配給会社のキャンペーン力を踏まえて『LION/ライオン』の方が有力と見る。


●撮影賞
『ラ・ラ・ランド』
『ムーンライト』
『LION/ライオン』
『メッセージ』
『沈黙 サイレンス』

ここは堅実に撮影組合賞との合致であると予想する。
前哨戦で独壇場を築いている『ラ・ラ・ランド』と、『ムーンライト』の2強が、直接対決を見せる。受賞ポテンシャルで言えば、前者の方が上だろうか。
SF映画『メッセージ』も、近年の傾向的には安全圏。『LION/ライオン』と『沈黙』を破る作品があれば、『最後の追跡』だろう。万が一、『沈黙』が落ちれば、全員初ノミネートとなるわけだ。



●編集賞
『ラ・ラ・ランド』
『ムーンライト』
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
『最後の追跡』
『メッセージ』

作品に最も影響を与えるとされる、この編集賞。
作品賞枠が5枠以上になってから、この部門にノミネートされた作品で作品賞候補に上がらなかったのは『ドラゴン・タトゥーの女』と『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』だけである。つまりは作品賞候補の可能性が高い作品で、ある程度目処が立つわけだ。
そこに、組合賞のノミネート結果を踏まえてみれば、残る作品はわずか6本。
『Hacksaw Ridge』をほぼ全外しにしているので、ここも外すことに。








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