【予想】第87回アカデミー賞受賞予想:第6回・撮影賞&編集賞

今日は技術系部門の最重要部門である、撮影賞と編集賞をチェックしていこうと思います。

・撮影賞
◎エマニュエル・ルベツキ『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
★ロバート・D・イーマン『グランド・ブダペスト・ホテル』
ウカシュ・ジャル、リヒャルト・レンチェフスキ『イーダ』
ディック・ポープ『ターナー、光に愛を求めて』
ロジャー・ディーキンス『Unbroken』


昨年受賞したエマニュエル・ルベツキが今年もノミネート。受賞経験者は彼一人だけで、おなじみのロジャー・ディーキンスも12回目のノミネートで、今度こそのオスカーを狙う様子。
ディック・ポープは2度目の候補ですが、それ以外のノミニーは初候補といった様相。

組合賞で候補入りしていた『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』が落ちて、代わりに入ってきたのがポーランド映画の『イーダ』。素晴らしいキャメラでしたが、外国語作品の撮影賞受賞は『パンズ・ラビリンス』以降無く。度々受賞していることは受賞していますが、比較的頻繁に候補に上がるわりに、受賞の確率はそんなに高くないのが現状。

撮影賞が白黒/カラーと分けられていた時代から、一元化して以降の47回のうち、37回が作品賞候補作から受賞作が出ていること。
作品賞候補にあがらなかった作品で受賞した作品は、「美術」「衣装デザイン」「主演女優」といった、作品のルックに影響をもたらす部門でも候補に挙がっている(『リバー・ランズ・スルー・イット』以外)ことを踏まえると、

受賞の可能性があるのは『バードマン』『グランド・ブダペスト・ホテル』『ターナー』の3作か。

ちなみに、撮影賞の長い歴史の中で連覇を成し遂げたカメラマンは以下の4人。
W・ハワード・グリーン、レオン・シャムロイ、ウィントン・C・ホック、ジョン・トール。

近年の撮影賞の傾向として、SFや3Dなど、革新的な映像表現が評価されやすくなっております。となると、純然たる光の美を求めた『ターナー』は一歩後退か。

ほとんど長回しワンショットで見せる『バードマン』か、
三つのアスペクト比を巧みに操る完璧な構図で作品世界を体現した『グランド・ブダペスト・ホテル』か。

撮影監督組合賞を受賞したのは『バードマン』。過去28回で11回が直結しており、確実というにはちょっと弱いか。
下馬評では『バードマン』。ただ、個人的には『グランド・ブダペスト・ホテル』の逆転が期待できると推察する。



・編集賞
◎★サンドラ・エイデアー『6才のボクが、大人になるまで。』
バーニー・ピリング『グランド・ブダペスト・ホテル』
ウィリアム・ゴールデンバーグ『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』
ジョエル・コックス、ゲイリー・D・マーチ『アメリカン・スナイパー』
トム・クロス『セッション』

さすが裏の作品賞というだけあり、今年も作品賞候補作で埋め尽くされております。
・過去80回の編集賞で、作品賞と同時受賞した作品が35本。
・作品賞受賞作が編集賞候補落ちしていたのはわずか8回。
・81年から毎年作品賞受賞作は候補入りしている。
この3点を踏まえると、ハプニングのように取りざたされている『バードマン』の落選は、それなりの意味を持ちそうな予感がします。

ともかく、受賞するのは別の作品でも何ら問題がない。
重要な組合賞で受賞したのは『6才のボクが、大人になるまで。』(ドラマ部門)と『グランド・ブダペスト・ホテル』(コメディ・ミュージカル部門)というのを考えると、この二本で決まるのが無難な様子。

昨年も書いた通り、コメディ部門は弱いということもあり、ここは下馬評通り『6才のボクが、大人になるまで。』が危なげなく制するだろう。


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