【予想】第87回アカデミー賞受賞予想:第2回・長編ドキュメンタリー賞&短編各部門

さて、今日は長編ドキュメンタリーを中心に、短編各部門を考察していきましょう。



・長編ドキュメンタリー賞
◎『Citizenfour』
★『Finding Vivian Maier』
『Last Days in Vietnam』
『セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター』
『Virunga』

昨年は『アクト・オブ・キリング』の受賞を予想しましたが、スキャンダラスな内容が嫌われてか、『バック・コーラスの歌姫たち』が栄冠を勝ち取る結果になったこの部門。
前哨戦段階では『Citizenfour』と『Life Itself』が二分する形になり、ノミネート段階で『Life Itself』が落選したために、もはや『Citizenfour』の独壇場か、といったところ。
みんなロジャー・エバート嫌いなのかな。。。

昨年・一昨年と音楽関係の作品が受賞しておりますが、基本的にこの部門は幅広区幾つかのジャンルで分け合っていながらも、
経済>芸術>社会=自然
のような印象を受けます。

今年は社会系が中心で、『Finding Vivian Maier』が芸術分野に該当するかと。
人物にフォーカスしている『Citizenfour』『セバスチャン・サルガド』
事象にフォーカスしている『Last Days inVietnam』『Virunga』

前哨戦の勢いから、『Citizenfour』の優位は揺るがないでしょうが、逆転があるなら、直前で急激に評価を伸ばしていた『Finding Vivian Maier』か。
『Life Itself』の芸術志向票が全部流れる可能性も充分ありうる。




・短編ドキュメンタリー賞
◎★『Crisis Hotline : Veterans Press 1』
『Joanna』
『Our Curse』
『The Reaper』
『White Earth』


こちらはかなり予想が難しい部門のひとつではあるが、
基本的に
・人物にフォーカスが当てられているもの
・中東地域や南アジアなどの社会問題を描いている作品

が近年では強い印象を受けます。
とはいえ、今年は
・ポーランド製の「病」が題材の作品(『Joanna』『Our Curse』)
・VCLの活動を描いたアメリカ製社会問題(『Crisis Hotline』)
・経済問題とそれにまつわる人間模様(『The Reaper』『White Earth』)
と、なんだかどれもひとつ違う感じがします。

全般的に社会問題化している題材が強いとなれば、『Crisis Hotline』が無難な印象か。
受賞歴で見ると、『White Earth』が一歩リード。同じような題材を描いている長編ドキュメンタリーの『Overnighters』がノミネート漏れしているのが気にかかるところ。



・短編実写映画賞
★『Aya』
『Boogaloo and Graham』
『チベットの埃』 
『Parvaneh』
◎『一本の電話』



昨年は個人的願望で挙げていた『helium』が受賞して非常に嬉しかったわけですが、今年はどれが獲っても正直おかしくないぐらいの混戦模様。
『チベットの埃』と『一本の電話』は確かにいろいろな賞で受賞している経験がありますが、1年前の作品のような感じがしてなんとも。
しかも『チベットの埃』に関しては、シカゴ国際映画祭でドキュメンタリー賞を獲っていたりするので、実写映画のカテゴライズでいいのか気になります(中身を見ていないので)。
授賞式として、一番盛り上がるのは昨年助演女優賞候補に挙がっているサリー・ホーキンス主演の『一本の電話』か。結局この二作品の一騎打ちの目が強い。

昨年は子供が主人公の作品が獲ったから、という安易な理由で『Boogaloo and Graham』を外し、学生映画である『Parvaneh』はノミネートこそが勝利という見方。
『Aya』が気になるし、個人的にはこの作品に獲ってもらいたい気持ちが強い。
ドラマ性の強い作品が好まれるこの部門。
個人的には『一本の電話』と『Aya』の一騎打ちで予想したく。



・短編アニメーション賞

『the Bigger Picture』
『ダム・キーパー』
『愛犬とごちそう』
『Me and My Moulton』
◎★『人間の一生』


昨年は例によってミッキーマウスさんが受賞を逃しました。予想では勝ちまちがいないでしょうと言ったけれど、やっぱり。。。
プリントンもグレン・キーンもノミネート漏れしてしまったので、思い入れがある作品がないのでニュートラルな気分で予想ができますが、とにかくグレン・キーンの『Duet』が素晴らしいので皆さんに観て欲しいです。

とりあえず、今年のノミネート作品の支持層のバラバラ具合が半端ないことが伺えます。
『the Bigger Picture』は学生映画なので、ある一定の支持層を得られそう。
『ダム・キーパー』は日本人クリエイターなので日本では騒がれそうですし、元ピクサーというのも大きい。
『愛犬とごちそう』は大ヒットしている『ベイマックス』の併映なのでディズニーパワー。
『Me and May Moulton』は受賞経験者トーリル・コーヴェなので、やはり一定のファンがいる。
『人間の一生』は、、、あれ。どんな人が支持しているのだろう。。。

で、実はこの部門ですが、受賞作は毎年主人公が人間なのです。人間じゃない動物が主人公になっていたのは2002年の『チャブチャブス』以来一本もなくて、『フォー・ザ・バーズ』や『バニー』や『快適な生活』はあるけれど、基本的には人間が描かれていることが多く。
となると、三択。

この部門で複数回獲ってる作家はウォルト・ディズニーやニック・パーク、フレデリック・バックといった歴史的アニメーター。たしかにトーリル・コーヴェも素晴らしいアニメーターではあるけれど、前の作品と比べるとインパクトに欠ける部分も多々。
だからといって『the Bigger Picture』が受賞するのも考えづらい。

そもそも重要な作家や受賞経験者が軒並み落選している今年の短編アニメーション賞はかなりの混戦。正直何が獲ってもおかしくない気がします。
個人的には『人間の一生』を本命にしたいところ。


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