【オスカー直前2】組合賞から予想する。(脚本・脚色・編集・撮影・美術・衣 装デザイン・メイキャップ&ヘアスタイリング・視覚効果・録音・音響編集)

重要な前哨戦として知られる、各組合賞を過去5年のデータと比較して、雑感。
オスカー予想の役に立てばいいかな、というものです。



⚫︎脚本賞

脚本家組合賞(脚本賞)
『6才のボクが、大人になるまで』
『フォックスキャッチャー』
『グランド・ブダペストホテル』
『Nightcrawler』
『Whiplash』

ここでも存在感を発揮する『Nightcrawler』。
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』と『Selma』は未エントリーなのでしょうか。それはともかく、近5年の脚本賞候補から考えると、

2013→5本
2012→3本(残り2本は未エントリー)
2011→2本(残り3本は未エントリー2本+外国語映画)
2010→3本
2009→2本(残り3本中1本がアニメーション)

これを考えると、どの作品が残ってもおかしくない現状。
少なくとも、批評家賞の状態から、『バードマン』が突っ込んでくることはまちがいなく、『6才のボク』『グランド・ブダペストホテル』は確実に残る模様。
前哨戦で獲っているだけに侮れない『Nightcrawler』と『Whiplash』から、『バードマン』の代わりに外れるのは『フォックスキャッチャー』の可能性高し。
『Selma』が入ってきたら『Nightcrawler』のほうが退くか……。





⚫︎脚色賞

脚本家組合賞(脚色賞)
『アメリカンスナイパー』
『ゴーン・ガール』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『イミテーションゲーム』
『Wild』

どうして入ってきたガーディアン。と言いたくなりますが、
2013→3本(残り2本は未エントリー)
2012→4本(残り1本は未エントリー)
2011→3本
2010→3本(残り1本はアニメーション)
2009→2本

こちらも完全一致はないので、ガーディアンは外れると思しき。
前哨戦の様子から『Inherent Vice』。作品パワーから『博士と彼女のセオリー』『Unbroken』あたりが逆転候補になりそう。
『ゴーン・ガール』と『イミテーションゲーム』は残留確定。





⚫︎編集賞

編集監督組合賞
(ドラマ部門)
『アメリカンスナイパー』
『6才のボクが、大人になるまで』
『ゴーン・ガール』
『イミテーションゲーム』
『Nightcrawler』
『Whiplash』

(コメディ・ミュージカル部門)
『バードマン』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『イントゥ・ザ・ウッズ』
『Inherent Vice』
『グランド・ブダペストホテル』


近5年のノミネート作品25作品中、この組合賞で漏れていたのは4作品。『ダラス・バイヤーズクラブ』『127時間』『プレシャス』『イングロリアス・バスターズ』。
つまりは作品賞にはいる作品なら問題なく、この組合賞をスルーしてもいけるよってことなので、『Selma』は可能性ありだけど、批評家賞で頑張っている『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の目は消滅したと考えて良さそう。
ちなみに近5年では作品賞候補に挙がらなかったノミネート作は『ドラゴン・タトゥーの女』だけで、受賞していきました。数年前の『ボーン・アルティメイタム』もそうでしたね。





⚫︎撮影賞

撮影監督組合賞
『Unbroken』
『イミテーションゲーム』
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『ターナー 光に愛を求めて』
『グランド・ブダペストホテル』

前哨戦頑張っている『インターステラー』が入りませんでした。あらあら。
過去5年で、この組合賞と本番のノミネートが違ったことは3度。
『レ・ミゼラブル』→『ジャンゴ 繋がれざる者』
『裏切りのサーカス』→『戦火の馬』
『NINE』→『ハリーポッターと謎のプリンス』

共通点は、複数回候補経験者は逆転できるというわけですかね。
『謎のプリンス』のブリュノ・デルポネルは『アメリ』『ロング・エンゲージメント』で外国映画ながら撮影賞に二度候補入り。
『ジャンゴ』のロバート・リチャードソンは3度受賞経験しているし、『戦火の馬』のヤヌス・カミンスキは言わずもがな。
では、今年は例えば『ゴーン・ガール』のジェフ・クローネンウェスは2度候補に挙がっているので十分可能性ありでしょうか。
『エヴァの告白』のダリウス・コンジは1回しか候補に挙がっていないし、『インターステラー』のホイテ・ヴァン・ホイテマはまだ候補経験なし。これは危うい。
ところで、逆に落ちる作品3本の共通点ってなんだろうかと考えたら、「人がうじゃうじゃ出てくる」ってことしか思い浮かばなかったです。それなら『グランド・ブダペストホテル』『イミテーションゲーム』危うい?





⚫︎美術賞

美術監督組合賞
(ピリオド)
『グランド・ブダペストホテル』
『イミテーションゲーム』
『Inherent Vice』
『博士と彼女のセオリー』
『Unbroken』

(ファンタジー)
『キャプテンアメリカ ウィンターソルジャー』
『猿の惑星 新世紀』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『インターステラー』
『イントゥ・ザ・ウッズ』

(コンテンポラリー)
『アメリカンスナイパー』
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『フォックスキャッチャー』
『ゴーン・ガール』
『Nightcrawler』


傾向が掴みづらい美術賞と組合賞の関連性。

2009年は組合賞候補作が2本(ファンタジーとピリオド)
2010年は組合賞候補作5本(ファンタジー3、ピリオド2)
2011年は組合賞候補作3本(ファンタジー1、ピリオド2)
2012年は組合賞候補作5本(ファンタジー2、ピリオド3)
2013年は組合賞候補作5本(ファンタジー1、ピリオド3、コンテンポラリー1)

なので基本的にはコンテンポラリー無視でいいでしょうかね。
昨年のコンテンポラリー1作品も『her』なので現代というより未来でしたし。
また、近年急に作品賞候補作からのノミネートが目立つ状態に。
昨年と2011年は4本、2012年と2010年は3本が作品賞と一致しました。2009年は『アバター』だけだったのにね。
ピリオドで、作品賞候補入り確実視されている3本は問題なくノミネートされるでしょう。残りはファンタジーから2本くるかな。『イントゥ・ザ・ウッズ』は確定か。




⚫︎衣装デザイン賞

衣装デザイナー組合賞
(コンテンポラリー)
『6才のボクが、大人になるまで』
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『ゴーン・ガール』
『インターステラー』
『Wild』

(ピリオド)
『グランド・ブダペストホテル』
『イミテーションゲーム』
『Inherent Vice』
『Selma』
『博士と彼女のセオリー』

(ファンタジー)
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『ホビット 決戦のゆくえ』
『The Hunger Games : Mockingjay Part1』
『イントゥ・ザ・ウッズ』
『マレフィセント』


こちら、近5年を見るとちょっと面白い。
2009年→組合賞候補4作(ピリオド3、ファンタジー1)+外国映画(『ブライト・スター』)
2010年→組合賞候補4作(ピリオド2、ファンタジー2)+外国映画(『ミラノ、愛に生きる』)
2011年→組合賞候補4作(ピリオド4)+外国映画(『もうひとりのシェイクスピア』)
2012年→組合賞候補5作(ピリオド3、ファンタジー2)
2013年→組合賞候補3作(ピリオド3)+外国映画(『グランドマスター』)
+マイケル・オコナー(『The Invisible Woman』)

・まずコンテンポラリー完全無視。
・お馴染みの人がいないか探す。
ちなみにオコナーは今年は評判の悪い『Suite Francaice』だけ。サンディ・パウエルは来年の『シンデレラ』で獲るでしょうし、コリーン・アトウッドは……いましたね。候補入りしてますし。『イントゥ・ザ・ウッズ』確定。
・あと衣装の評判がすこぶる良い外国映画があるか。
『ターナー』がちょっと気になるぐらい。

ピリオドから3つか4つ、ファンタジーから2つか1つ。
最後の一席争いは『イミテーションゲーム』vs『マレフィセント』になるかな。。。



⚫︎メイキャップ&ヘアスタイリング賞

メイキャップアーティスト/ヘアスタイリスト組合賞

(コンテンポラリーメイキャップ)
『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』
『ゴーン・ガール』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『インターステラー』
『Nightcrawler』

(ピリオドorキャラクターメイキャップ)
『The Hunger Games Mockingjay Part1』
『イントゥ・ザ・ウッズ』
『グランド・ブダペストホテル』
『博士と彼女のセオリー』
『Unbroken』


(特殊メイク効果)
『フォックスキャチャー』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『イントゥ・ザ・ウッズ』
『マレフィセント』
『ホビット 決戦のゆくえ』


(コンテンポラリーヘアスタイリング)
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『インターステラー』
『St.Vincent』
『ニューヨーク冬物語』

(ピリオドorキャラクターヘアスタイリング)
『ジェームズ・ブラウン 最高の魂を持つ男』
『イントゥ・ザ・ウッズ』
『Selma』
『グランド・ブダペストホテル』
『博士と彼女のセオリー』



多いよ。
とはいえ、昨年から組合賞ができたこの部門。
メイキャップ&ヘアスタイリング賞になったのも一昨年からで、それまではあくまでも「メイキャップ」賞。
ではこの2年でヘアスタイリングを重視された作品があったか、と言われてもピンとこない。
一昨年は
『レ・ミゼラブル』(髪切ってる)
『ヒッチコック』(禿げてる)
『ホビット』(うん。)

去年は
『ダラス・バイヤーズクラブ』(メイキャップ?)
『jackass』(ん?)
『ローン・レンジャー』(うん。)

とりあえず、昨年の候補3作は、何らかの形で組合賞で目立っている。
『ダラス・バイヤーズクラブ』はピリオドのメイキャップ部門受賞。
『jackass』は特殊メイク効果受賞。
『ローン・レンジャー』はピリオドのメイキャップとヘアスタイリングでノミネート。


今年すでにエントリー作が出揃っているので、まずそれを見るとして、
『アメイジングスパイダーマン2』(候補なし)
『ガーディアンズオブギャラクシー』(コンテンポラリーM&Hと特殊メイク効果)
『ノア約束の舟』(候補なし)
『マレフィセント』(特殊メイク効果)
『グランドブダペストホテル』(ピリオドM&H)
『フォックスキャチャー』(特殊メイク効果)
『博士と彼女のセオリー』(ピリオドH)


『アメスパ』と『ノア』は組合賞に入ってこなかったのでまず外す。
ヘアスタイリングにしか入らなかった『博士と彼女のセオリー』を泣く泣く外し、また近2年は作品賞候補作が1本入るということは、まずは『グランド・ブダペストホテル』は来るということだろうか。
残り、特殊メイク候補3作から2本選ぶとして他部門候補の『ガーディアンズ』、
とりあえず必ず候補に上がるリック・ベイカーの『マレフィセント』で問題ないか。
『フォックスキャチャー』がここでも落ちることになるのだろうか……。


⚫︎視覚効果賞

視覚効果監督組合賞

(視覚効果賞)
『猿の惑星 新世紀』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『インターステラー』
『マレフィセント』
『ホビット 決戦のゆくえ』
『X-MEN フューチャー&パスト』

(サポート視覚効果賞)
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『ダイバージェント』
『グランド・ブダペスト・ホテル』
『イミテーション・ゲーム』
『Unbroken』


例年のノミネートを見ると、基本的に組合賞の視覚効果部門から3〜4作品がノミネートされています。オスカー候補が3作だった2009年は3作とも視覚効果部門にノミネートされており、
2010年と、2013年は4作が共通し、残りの1作はサポート視覚効果部門を受賞する作品が選ばれました。
2011年と2012年は、どちらの候補にも上がらなかった作品が1作だけ入りましたが、概ね同じような傾向があり、サポート視覚効果に入る作品でオスカー候補に上がる作品は、組合賞同部門を制す傾向があります。

今年のエントリー作10本のうち、6本が視覚効果部門にノミネートされている一方、サポート部門と重なる作品が一本もないので、とりあえず確実そうな4本をまず選び、残り1本を精査する必要がありそうです。



⚫︎録音賞

録音監督組合賞
『アメリカンスナイパー』
『バードマン』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『インターステラー』
『Unbroken』

ミュージカル映画にも優しいこの部門ですが、『イントゥ・ザ・ウッズ』が組合賞漏れするとは。
近5年を比べると、2〜4作品がそのままオスカーに。あまり直結とは言えないので、参考程度でしょうか。
組合賞とオスカーの候補の入れ替わりを見ると、
2013年は、組合賞『アイアンマン3』→オスカー『ホビット2』
2012 組合賞『ホビット1』『ゼロ・ダーク・サーティ』→オスカー『アルゴ』『ライフ・オブ・パイ』
2011 組合賞『ハンナ』『パイレーツ4』『スーパー8』→オスカー『ドラゴンタトゥーの女』『トランスフォーマー3』『戦火の馬』
2010 組合賞『ブラックスワン』『シャッターアイランド』→オスカー『英国王のスピーチ』『ソルト』
2009 組合賞『第9地区』→オスカー『イングロリアスバスターズ』

というふうに、作品賞などでも善戦する作品が変わっていたり、入っていたり、はたまたこの部門でしか健闘できないような作品が入っていたり落ちていたりと傾向が掴みづらい状態です。


⚫︎音響編集賞

音響効果監督組合賞
(音響効果&効果音部門)
『アメリカン・スナイパー』
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー』
『猿の惑星 新世紀』
『フューリー』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『インターステラー』
『Unbroken』

(ダイアローグ&ADR部門)
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『猿の惑星 新世紀』
『グランド・ブダペスト・ホテル』
『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』
『アリスのままで』
『博士と彼女のセオリー』
『Unbroken』
『セッション』

(ミュージック部門)
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『猿の惑星 新世紀』
『きっと星のせいじゃない』
『ゴーン・ガール』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『インターステラー』
『Selma』


こちらも幾つかの部門に分かれている組合賞ですが、上記の他にミュージカル映画部門や
アニメ、外国映画、ドキュメンタリーの部門があります。実際のところ、ノミネートされるのは上の三つの部門からなので、省略させていただいておりますが、

基本的には「音響効果&効果音部門」に候補に上がる作品が中心です。
2013年は5作すべて、2012年と2011年は4作がこの部門にあがっており、
昨年の『オール・イズ・ロスト』、以外は同時に他の部門にも候補入りしています。

また、一昨年オスカーをタイ受賞した『ゼロ・ダーク・サーティ』は組合賞で一切絡まず、2011年の『ヒューゴの不思議な発明』はミュージック部門(受賞)のみ候補入りしました。
不思議と、この2作品はオスカーを獲得しておりますから、そういう作品のほうが強いと考えると、ノミネート予想はしやすいかもしれません。



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