【オスカー直前1】アメリカ製作者組合賞のノミネートから、作品賞を考える。

アカデミー賞ノミネート発表まであと9日ほどです。(現地時間1/15に発表です)

作品賞レースを占う、最重要組合賞とも言われているアメリカ製作者組合賞のノミネーションが発表されました。


すでに発表されている、アニメーション映画賞、ドキュメンタリー映画賞も合わせて紹介しつつ、作品賞部門の過去のデータと照らし合わせて、今年の作品賞レースの予想に加えていきたいと思います。



作品賞
『アメリカン・スナイパー』
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『6才のボクが、大人になるまで』
『フォックスキャッチャー』
『ゴーンガール』
『グランド・ブダペスト・ホテル』
『イミテーション・ゲーム』
『Nightcrawler』
『博士と彼女のセオリー』
『Whiplash』


アニメーション映画賞
『ベイマックス』
『The Book of Life』
『the Boxtrolls』
『How to train Your Dragon 2』
『LEGO(R)ムービー』

ドキュメンタリー映画賞
『The Green prince』
『Life Itself』
『Merchants of Doubt』
『Particle Fever』
『Virunga』


アニメーション映画賞のほうは、上の5作品共にエントリーされているので、この5作品+『Song of the Sea』『かぐや姫の物語』の争いとなる見込み。
ドキュメンタリー映画賞に関しては、『Life Itself』と『Virunga』以外はエントリー外なので、例年通りこちらとは直結しないと思われます。


さて、作品賞レース。
5年前にアカデミー賞作品賞候補数が10になってから、こちらも10枠(常に)に変わっております。

製作者組合賞ノミネート作で、アカデミー賞作品賞にノミネートされた作品の数は、
2013年→8本
2012年→8本
2011年→7本
2010年→9本
2009年→8本

と、毎年ほぼきているわけです。
では、ほとんどが的中する前提で、何が外れて、何が新しく入ってくるのかを考えてみたいと思います。

2013年→『ブルージャスミン』(SPC)『ウォルト・ディズニーの約束』(WD)アウト
    『あなたを抱きしめる日まで』(TWC)イン


2012年→『スカイフォール』(COL)『ムーンライズ・キングダム』(FF)アウト
    『愛、アムール』(SPC)イン

2011年→『スーパー・チューズデー』(COL)『ドラゴンタトゥーの女』(COL)『ブライズメイズ』(UNI)アウト
    『ツリー・オブ・ライフ』(FOXs)『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(PM)イン

2010年→『ザ・タウン』(WB)アウト
    『ウィンターズ・ボーン』(RA)イン

2009年→『インビクタス』(WB)『スタートレック』(PM)アウト
    『シリアスマン』(FF)『しあわせの隠れ場所』(WB)イン



とまあ、過去5年で外れた10本と、入った7本を並べてみました。
とりあえず、入ってくる7本を見てみると、
・海外の映画祭で高い評価(米国内ではあんまり)
・インディペンデント映画
・直前で急激に評価を伸ばしてきた映画

今年は逆転候補の可能性を秘めているorここでまさかのノミネート外となった作品は、『Selma』以外にいない。あとは『Unbroken』も狙えるだろうか。
となると、少なくとも2本は外れる事になるだろうか。


では、逆に外れる映画の共通点は何か。
・10作品中半分の5本は、同じ配給会社に強力なプッシュ作がいて、その作品と合わせてノミネートされている。
(『スタートレック』→『マイレージマイライフ』、『ザ・タウン』→『インセプション』、『スーパー・チューズデー』『ドラゴンタトゥーの女』→『マネーボール』、『スカイフォール』→『ゼロ・ダーク・サーティ』)


では、今年の候補作を配給会社込みで振り返ってみると、
『アメリカン・スナイパー』(WB)
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(FOXs)
『6才のボクが、大人になるまで』(IFC)
『フォックスキャッチャー』(SPC)
『ゴーンガール』(FOX)
『グランド・ブダペスト・ホテル』(FOXs)
『イミテーション・ゲーム』(TWC)
『Nightcrawler』(ORF)
『博士と彼女のセオリー』(FF)
『Whiplash』(SPC)

重なっているのはフォックスサーチライトとソニーピクチャーズクラシック。
サーチライトは過去に複数候補の経験も多数あり、また他に作品賞候補に滑り込む作品がないことを考えると、ソニーピクチャーズクラシックの2本のどちらかが危うくなる。
公開延期を経て下馬評で最有力と言われ続けてきたが失速気味の『フォックスキャッチャー』と、助演男優賞受賞確実で急激に評価を伸ばしている『Whiplash』。どちらも外れるリスクは十分であるが、辛うじて後者の方が残るだろうか。

外れるリスクを持っている作品はまだある。
『アメリカン・スナイパー』
『Nightcrawler』
『グランド・ブダペスト・ホテル』
この三本は、作家性の偏りから嫌われる可能性も十分に持っている作品である。
前哨戦の流れからすると、『アメリカン・スナイパー』が真っ先に外れるのだが、気になるのはワーナーの作品が作品賞候補にいない年が2003年以降なかったということである。最大手の映画会社が映画の祭典からシャットダウンされるのかどうか。今年は他に『Inherent Vice』ぐらいしか弾を持っていないだけに、気になるところである。




<Lock>
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
『6才のボクが、大人になるまで』
『ゴーンガール』
『イミテーション・ゲーム』
『博士と彼女のセオリー』

<Likely>
『Selma』
『Whiplash』
『グランド・ブダペスト・ホテル』

<Possible>
『フォックスキャッチャー』
『Nightcrawler』
『アメリカン・スナイパー』
『unbroken』

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