【オスカー予想連載】第87回アカデミー賞予想2:主演女優賞

さて。第2回は主演女優賞です。

昨年のこの連載で書いたことを要約すると、

・主演女優賞と作品賞のマッチングは少ない
・けっこうミーハー。

というざっくりとこんな感じでしょう。

昨年この初回予想で挙げた6人から、ノミネートは4人。
ケイト・ブランシェット
サンドラ・ブロック
ジュディ・デンチ
そして、メリル・ストリープ

エイミー・アダムスは読み切れませんでしたが、エマ・トンプソンの落選と、何故かベレニス・ベジョの名前を挙げていたので致し方なしということで。
受賞予想も徹頭徹尾ブランシェット外しに行ったので、外れましたが(笑

さて、今年は本命不在(今のところ)と言われておりますので、難しいところです。

とりあえず、この人は絶対来るでしょうという人から。



ティム・バートンの『Big Eyes』エイミー・アダムスですね。
またお前かよ、って思った人、たくさんいると思います。僕も思います。

2005年の『Junebug』でノミネートされてから、実に主演1回、助演4回のノミネートを獲得。いまだに受賞していないけど、なんだかオスカーに愛されている彼女。


あとはもう、群雄割拠といわざるを得ない状態ですので、一気に有力どころを並べてみようと思います。


まず、ジャン・マルク=ヴァレの『Wild』リース・ウィザースプーン


若手から二人、『The Theory of Everything』フェリシティ・ジョーンズ


そして、『The Fault in Our Stars』シャイリーン・ウッドリー


受賞経験者から
『The Homesman』ヒラリー・スワンク

『Suffragette』メリル・ストリープ

『マダム・マロリーと魔法のスパイス』ヘレン・ミレン

ノミネート経験者では
『Trash』ルーニー・マーラ

『The Disappearance of Eleanor Rigby』ジェシカ・チャスティン


カンヌで女優賞に輝いた
『Maps to the Stars』ジュリアン・ムーア

そしてジュリアン・ムーアはもう一本『Still Alice』



あと1人、『ゴーン・ガール』ロザムンド・パイク


さて、ここから絞っていきましょう。

○作品賞と主演女優賞の関連性

まず、作品賞枠が5枠以上になった第82回以降で、作品賞候補作から主演女優賞候補になった候補者の数は以下の通り。ついでにその年の受賞者も並記しましょう。
(※受賞者横の○×は、対象作が作品賞にノミネートされたか否かです)

第82回→3/5 サンドラ・ブロック『しあわせの隠れ場所』(○)
第83回→3/5 ナタリー・ポートマン『ブラック・スワン』(○)
第84回→1/5 メリル・ストリープ『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(×)
第85回→4/5 ジェニファー・ローレンス『世界にひとつのプレイブック』(○)
第86回→3/5 ケイト・ブランシェット『ブルージャスミン』(×)

まあ、大体3枠ぐらいが作品賞とかぶるということでしょう。
ちなみに5年間で11人、作品賞候補作以外からノミネートされていますが、
(メリルが3回、ミシェル・ウィリアムズ2回なので実質的に7人ですが)『ドラゴン・タトゥーの女』のルーニー・マーラ以外は全員オスカー候補経験者でした。これは近年の傾向でしょうか。
作品賞も5枠だった過去のデータを見てみると、95年から2008年にかけて毎年必ず、作品賞候補外からオスカー初ノミネートとなる女優が主演女優賞候補にあがっています。

ということは、オスカー作品賞候補にあがる可能性が薄く、これまでノミネート経験の無い女優がまず減点でしょうか。

『The Fault in Our Stars』シャイリーン・ウッドリー

春のヒット作ではありますが、作品評価よりもシャイリーンの評価が一人歩きしている点と、同配給(FOX2000)から他の作品があるのも減点ポイントでしょう。


○恒例の「実在の人物」

そして今年も実在の人物を演じる女優には注目しておいて損はないでしょう。

『Big Eyes』エイミー・アダムス……マーガレット・キーン(画家)
『Wild』リース・ウィザースプーン……シェリル・ストレイド(作家)
『The Theory of Everything』フェリシティ・ジョーンズ……ジェーン・ホーキング(物理学者スティーブン・ホーキングの妻)
『Suffragette』メリル・ストリープ……エメリン・パンクハースト(活動家)


○英国票の行方

昨年のジュディ・デンチや、過去にはジュリー・クリスティ、ヘレン・ミレン、ケイト・ウィンスレットなど英国女優が健闘するのは、やはりオスカーに列記とした英国枠がある証明で、アメリカ人女優も『マーガレット・サッチャー』のメリル・ストリープなど英国作品に出て候補にあがる例も。
イギリス、もしくはオーストラリア系の女優がノミネートされていない年も、必ずヨーロッパ系の女優が一人は絡んでくるのがこの部門。

『The Theory of Everything』フェリシティ・ジョーンズは英国出身で、英国作品。
『Suffragette』のメリル・ストリープと『Trash』のルーニー・マーラは米国出身だが、対象作は英国作品。
『マダム・マロリーと魔法のスパイス』のヘレン・ミレンは英国出身だが、米国作品。

フェリシティが一枚上手か。


○メリル様をどう扱うか

オスカーの女優部門を考える上で、これだけは外せない永久のテーマです。
今年のメリル様は、『Suffragette』での主演ロール、『Into the Woods』『the Homesman』での助演ロールがありますが、(あえて『the Giver』は気にしない)役柄的に可能性が高いのは『Suffragette』。
しかし、一応2014年内にアメリカ公開を予定されてはいますが、まだ配給会社も未確定。
来年に回る可能性もなくはない……。

ちなみに近年メリル様が候補に挙がった年は、
ジュディ・デンチ
グレン・クローズ
ヘレン・ミレン
ケイト・ウィンスレット
など、オスカー常連組が一緒にノミネートされるケースが目立つ。
しかもみんなイギリス票を集めそうな人たち(グレン・クローズはアイルランド映画『アルバート氏の人生』での候補だった)。
ってことは、今年はリースもエイミーもいるからもしかして……。

二年連続ノミネートから、1年づつ開けて二回候補に挙がるローテーションを80年代にもやっているメリルさん。そのときの流れなら、今年もノミネートされてもおかしくないんだけども。。。

とりあえず、対象作が年内公開確定したら、ほぼ確実にあがってくるでしょう。

※追記:『Suffragette』はキャリー・マリガン主演プッシュでメリル様助演プッシュのようです。


○話に挙げてもらえなかった他の人たちは……

まず今年気になるのが、ジュリアン・ムーアの復権。
『Maps to the Stars』でカンヌ女優賞を獲得した彼女。昨年の予想でも触れていますが、意外とカンヌの女優賞とオスカーの女優賞は相性が良かったり。
でもそれ以上に気に入られそうなのが『Still Alice』の役柄。これは票割れの危険も?

4度の候補で未だに戴冠に至っていない彼女。今度こそ……。


『Trash』のルーニー・マーラ。若手では最も期待されている女優です。いくらダルドリー作品といえど、今年はワインスタインが後ろについていないのが弱点で、作品パワーがそんなに強くなさそう。。。この写真はすごく可愛いんだけど。

同じく、『The Disappearance of Eleanor Rigby』のジェシカ・チャスティン。そういえば『a Most Violent Year』にも出ていて票割れの危険もありつつ、ワインスタイン配給といえど、評価も興行も伸び悩んだ作品では少し分が悪いか。。。

ヒラリー・スワンクが候補に挙がる年は、やっぱりアネット・ベニングもいないとしっくりこない気がしますけど、そういえばこないだはアネット・ベニング一人で候補にあがってましたね。対象作のパワー云々よりも、配給会社がロードサイド・アトラクションズ(『ウィンターズ・ボーン』を作品賞候補に伸し上げた)なのが非常に気になる。怖い存在。

ヘレン・ミレンは、今回の作品はとりあえず賞レース方向に帰ってきてるよ程度のものでしょう。最近マシンガンぶっ放してましたからね。ただハルストレム作品が生き返らない限りは少々厳しい戦いを強いられそうです。マシンガンぶっ放しているほうがいいかもしr……






エイミー・アダムス『Big Eyes』
フェリシティ・ジョーンズ『The Theory of Everything』
リース・ウィザースプーン 『Wild』
ジュリアン・ムーア『Still Alice』
ロザムンド・パイク『ゴーン・ガール』


――――――(Nomination Line)――――――
<Possible>
ヒラリー・スワンク『The Homesman』
ジュリアン・ムーア『Maps to the Stars』
ルーニー・マーラ『Trash』
ヘレン・ミレン『マダム・マロリーと魔法のスパイス』
シャイリーン・ウッドリー『The Fault in Our Stars』
ジェシカ・チャスティン『The Disappearance of Eleanor Rigby』

<Longshot>
ジェシカ・チャスティン『a Most Violent Year』
ミア・ワシコウスカ『Tracks』
アン・ハサウェイ『インターステラー』
キーラ・ナイトレイ『はじまりのうた』
エミリー・ブラウニング『God Help the Girl』

<Move to Supporting Actress>
メリル・ストリープ『Suffragette』

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