【前哨戦】第71回ヴェネツィア国際映画祭の星取表を見ながら気楽に予想してみる。

ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門の上映が一通り済んだようで、
明日の発表を前に金獅子賞の行方を考えてみたいと思います。


まず、イタリアの代表的な批評であるCINEMATOGRAFO.ITの星取を見てみましょう。
ついでに監督名の横にこの作品のimdBでの現在の評価を入れてみました。

★★★★★
『3Coeurs』ブノワ・ジャコ(5.2)
『Anime Nere』フランチェスコ・ムンジ(7.0)
『Il Giovane Favoloso』マリオ・マルトーネ(7.4)
『The Look of Silence』ジョシュア・オッペンハイマー(7.9)
『Red Amnesia』ワン・シャオシュアイ(6.4)

★★★★
『Le Dernier Coup de Marteau』アリックス・デラポルテ(7.3)
『Loin des Hommes』ダヴィッド・エルホッフェン(6.7)
『Hungry Hearts』サヴェリオ・コスタンツォ(6.3)
『A Pigeon Sat on a Branch Reflecting on Existence』ロイ・アンダーソン(7.8)
『The Postman's White Nights』アンドレイ・コンチャロフスキー(6.2)
『Sivas』カーン・ムジェシ(7.8)
『Tales』ラクシャン・バニ=エテマド(6.7)
『野火』塚本晋也(6.9)
『Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance』アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(9.2)

★★★
『La Rancon de la Gloire』グザヴィエ・ボーヴォワ(7.1)
『99 Homes』ラミン・バーラニ(8.3)
『Manglehorn』デイヴィッド・ゴードン・グリーン(8.6)
『Good Kill』アンドリュー・ニコル(6.6)

★★
『Pasolini』アベル・フェラーラ(5.0)
『The Cut』ファティ・アキン(6.9)

とまあ、4つ星が非常に多い感じになっています。
ちなみに、昨年の『ローマ環状線 めぐりゆく人生たち』にこの紙面では★★★★。
一昨年の『嘆きのピエタ』には★★★。
その前の『ファウスト』には★★★★を付けています。

一昨年は、『ザ・マスター』が規定により金獅子賞を獲れないという意味不明な事態になったわけですから、例外的に捉えても、少なくとも4つ以上★を付けている作品が選ばれる可能性が高いと判断でき……あれ。下馬評の良かったファティ・アキンと、一番ヴェネツィア受けがしそうなアベル・フェラーラの二人だけが低評価になっているじゃないですか。
何が起こるか判りませんね、まったく。


ところで、今年はベルリン国際映画祭の金熊賞が中国の『Black Coal,Thin Ice』。カンヌのパルムドールはトルコの『Winter Sleep』と、アジア圏の作品の受賞が連続しております。

過去に、ベルリンとカンヌがアジア系の作品だった年のヴェネツィアの結果を見てみましょうか。

(開催年→ベルリン→カンヌ→ヴェネツィア)
2010年→『蜂蜜』(トルコ)→カンヌ『ブンミおじさんの森』(タイ)→『SOMEWHERE』(アメリカ)

1993年→『香魂女』(中国)『ウェディング・バンケット』(台湾)→『さらばわが愛/覇王別姫』(中国)→『ショートカッツ』(アメリカ)『トリコロール/青の愛』(フランスなど)

とまあ、過去に2例しかないので何とも言えないんですけど。
1年の間で三大映画祭すべてがアジア圏の映画になった前例がないことが気になります。

ところで、過去のヴェネツィア国際映画祭の金獅子受賞作を国別で振り返ると(合作は製作主幹国を基準に。()内は戦前の時代)
フランス→12(2)
イタリア→10(9)
アメリカ→6(1)
イギリス→4(1)
ロシア→4
ドイツ→3(5)
日本、中国、台湾→3
アイルランド、インド→2
韓国、イスラエル、イラン、ベトナム、チェコ、マケドニア、ポーランド、デンマーク、カナダ→1

まあアジア系の作品が15本あるというのもすごいですが、やはりヨーロッパ系が強いわけで。
自分で載っけておいて忘れてましたが、imdBの数字。
やはりアメリカ作品が強いのは致し方ないとして、オッペンハイマーとロイ・アンダーソンが人気、といった感じかと。

金獅子賞はおそらくロイ・アンダーソンかフランチェスコ・ムンジ。意外とワン・シャウシュアイで三大映画祭がアジア映画で埋め尽くされるのもあり得るかも。

銀獅子賞は上記金獅子狙えそうな三人以外ではマリオ・マルトーネとアンドレイ・コンチャロフスキーあたりも気になる。

男優賞は『Manglehorn』のアル・パチーノあたりに獲ってもらいたいけど、『Birdman〜』のマイケル・キートンあたりが強敵かと。
女優賞も『Hungry Hearts』のアルヴァ・ロルヴァケルに獲ってもらいたいところ。

オッペンハイマーが未知数。評判はいいけど、どうなんだろうか。

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