【受賞予想+雑感】第86回アカデミー賞

早速全部門の予想と、雑感を軽く。

★作品賞
◎『ゼロ・グラビティ』
◯『アメリカン・ハッスル』
▲『それでも夜は明ける』
『キャプテン・フィリップス』
『ダラス・バイヤーズクラブ』
『her世界でひとつの彼女』
『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』
『あなたを抱きしめる日まで』
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

今年は5〜10本の枠で9本が選ばれました。
近年の1位票5%での選考になってから、3年連続で9本の選出になりましたね。
大きなサプライズとしては、前哨戦順調だった『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』が落選したこと。これはやはり配給会社のパワー不足だったのではないでしょうか。CBSフィルムズ配給では、批評家賞での純粋なる作品力でのプッシュでは足りない部分がこのアカデミー賞にはあるので、直近の前哨戦の失速からしても、その影響が出てしまったのではないだろうか。
ちなみに配給会社別の内訳は、2作品(ワーナー、パラマウント、コロンビア)、1作品(フォックス・サーチライト、フォーカス、ワインスタイン)というわかり易い構図に。
受賞最有力であり、最多候補の2作品は『ゼロ・グラビティ』がワーナー、『アメリカン・ハッスル』がコロンビア。
健闘が目立った二作(『ネブラスカ』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』)は両方ともパラマウント配給作品。直前に滑り込みで完成した『ウルフ・オブ・ウォールストリート』と、カンヌから評価を持続させてきた『ネブラスカ』の両方が候補入りするのはさすが老舗の貫禄。

候補入りが期待された『ウォルト・ディズニーの約束』は前哨戦からすでにパワー不足を露呈し、また『大統領の執事の涙』『フルートベール駅で』『8月の家族たち』は、ワインスタインのプッシュが不明確だったために、同社は『あなたを抱きしめる日まで』を押し出してきたと見るのが無難かと。


★監督賞
◎アルフォンソ・キュアロン『ゼロ・グラビティ』
◯デヴィッド・O.ラッセル『アメリカン・ハッスル』
アレクサンダー・ペイン『ネブラスカ』
スティーブ・マックイーン『それでも夜は明ける』
マーティン・スコセッシ『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

こちらも二強の二択決着で間違いはないでしょう。
作品賞では可能性は消えてないにしろ、『それでも夜は明ける』のスティーブ・マックイーンは、黒人監督としては史上3人目の候補入りを果たしただけで勝利である故、メキシコ人のキュアロンと、二年連続主要6部門完全ノミネートを果たしたラッセルの一騎打ちである。前哨戦の流れと作品評価では前者だが、後者には俳優の人気票が集中するだろう。どちらのしても、娯楽映画の監督が評価されることは大きい。
また、パラマウント作品の2作がこちらでも大健闘を果たした。とはいえ、中南米票のキュアロン、西部票のラッセル、中部票のペイン、東部票のスコセッシ、イギリス票のマックイーン。全員がバラバラの地域に支持層を集めていることは、この賞の今年の混迷を表している。
故に、マックイーンと同じイギリス票を集め易かったポール・グリーングラスの落選、
アレクサンダー・ペインの中部票はコーエン兄弟には流れず、東部はスパイク・ジョーンズ、ウディ・アレン、マーティン・スコセッシの3択からスコセッシになったとすれば、なかなか面白い結果と言える。



★主演男優賞
クリスチャン・ベイル『アメリカン・ハッスル』
ブルース・ダーン『ネブラスカ』
キウィテル・イジョフォー『それでも夜は明ける』
◎マシュー・マコノヒー『ダラス・バイヤーズクラブ』
レオナルド・ディカプリオ『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

こちらは前哨戦に則したノミネーション。ディカプリオの候補入りは多少サプライズ感はあるが、先日のゴールデングローブの結果からしてまあ順当ではないだろうか。
おそらく受賞はマシュー・マコノヒーがそのまま突っ切る。少し前までは作品のパワー不足が心配されていたが、作品賞候補に挙がったことで、より強固なものになった。
以前のブログでデータを出したが、あくまでも黒人俳優の受賞の年は、黒人俳優が2人候補に挙がっていることが前提条件だっただけに、キウィテルの受賞の目は作品の評価の失速とともに小さくなってきている。万が一があるなら、ブルース・ダーンか。

落選した有力どころを考えてみると、『オール・イズ・ロスト』のロバート・レッドフォードは完全に作品のパワー不足。もっとも、独りで映画を回す力量が評価されてのことであれば、今年は主演女優賞のサンドラ・ブロックと重なる部分があるので年が悪かったかと。それに40年間無視され続けた俳優はそう容易にはいかない。
一方オスカーに愛され続けているトム・ハンクス。これは作品の評価軸が技術面に偏ったことと、バーカッド・アブディに完全に負けてしまっているからであろう。もう一作の候補作については助演男優賞で触れることにする。

『her』のホアキン・フェニックスは昨年の問題発言の連発が響いたのか。『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』のオスカー・アイザックは作品パワー消滅で無名役者を押す威力が途絶えたことが敗因。そしてもう一人の黒人俳優フォレスト・ウィテカーは、ワインスタインの方向転換によって負けたものと思える。


★主演女優賞
エイミー・アダムス『アメリカン・ハッスル』
◯ケイト・ブランシェット『ブルージャスミン』
◎サンドラ・ブロック『ゼロ・グラビティ』
ジュディ・デンチ『あなたを抱きしめる日まで』
メリル・ストリープ『8月の家族たち』

もっとも順当と言われていたこの部門。蓋を開けてみれば順当ではあるのだが、どこか違和感がある。エマ・トンプソンが無視されてしまったのだ。これはナショナル・ボード・オブ・レビューの授賞式でのメリル・ストリープの発言が、作品評価を落としたものであるとの見方が有力ではあるが、一方であの発言はメリルの票を落とさなかったという意外性が見えた。やはりそれだけ会員に愛されての15度目の主演女優賞候補に挙がったメリル・ストリープ。恐るべし。
エイミー・アダムスが待望の主演女優賞候補に挙がったのは、やはり作品の圧倒的なパワー。受賞ももしかしたら……という希望を打ち砕くかのように、今年はここも二強。
前哨戦圧勝のケイト・ブランシェットがやはり強いのか。作品パワーの後押しでサンドラ・ブロックが勝つのか。
気になるところではあるが、サンドラに利があると見る。その根拠は、助演女優賞にサリー・ホーキンスが挙がったこと。つまり『ブルージャスミン』はケイト・ブランシェット一人の映画ではない。完全にシーンスティーラーとして物語を持っていく威力のあるサリー・ホーキンスの存在によって、少しでもケイト・ブランシェットが翳む余地があったことが証明されたのだ。
それ故、ほぼ独りで乗り切ったサンドラ・ブロックの2度目の受賞を願う。でも今回はラジー賞とダブル受賞はできませんね。


★助演男優賞
バーカッド・アブディ『キャプテン・フィリップス』
ジョナ・ヒル『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
ブラッドリー・クーパー『アメリカン・ハッスル』
マイケル・ファスベンダー『それでも夜は明ける』
◎ジャレッド・レト『ダラス・バイヤーズクラブ』

ノミネート発表一発目からの最大級のサプライズは、ジョナ・ヒルの名前が挙げられたこと。それでも、監督賞の候補入りなど『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の快進撃を考えれば納得の候補入り。
でも、今年はジャレッド・レトの遅咲きのブレイクをお祝いする年です。

『ラッシュ』のダニエル・ブリュール、『Enough Said』のジェームズ・ガンドルフィーニ、『ネブラスカ』のウィル・フォーテら、個性派の役者が注目されていたこの部門。どれも作品パワーいまひとつだったのか、それとも最初から大混戦だったのか、違和感を感じさせない候補者の並び。
『ウォルト・ディズニーの約束』のトム・ハンクスが主演につづいて候補を逃したのは、明らかに今年は若手をプッシュする並びのせいか。
でも、今年はジャレッド・レトが受賞する番です。


★助演女優賞
サリー・ホーキンス『ブルージャスミン』
◎ジェニファー・ローレンス『アメリカン・ハッスル』
ルピタ・ニョンゴ『それでも夜は明ける』
ジュリア・ロバーツ『8月の家族たち』
ジューン・スキッブ『ネブラスカ』

ジェニファー・ローレンスの勢いが止まらない。いや、ラッセル作品の愛され方が凄いせいなのか、それでもまだ13本しか出演作の無い女優が、3度目の候補で2度目の受賞に王手を掛ける。
他の候補者を観てみても、主演女優賞候補者と共倒れになりそうなサリー・ホーキンスとジュリア・ロバーツ。作品評価が落ちてきているルピタ・ニョンゴや作品評価が逆に伸びているジューン・スキッブの二人には可能性が消えていないが、
圧倒的な知名度、人気、そして大ヒット作『ハンガーゲーム2』の興行成績を鑑みるに、どう考えてもジェニファー・ローレンスが頂点に立つと見て間違いない。今年は転ばないように。


★脚本賞
『アメリカン・ハッスル』
『ブルージャスミン』
◯『ダラス・バイヤーズクラブ』
◎『her 世界でひとつの彼女』
『ネブラスカ』

あげても来ないアレンにあげるよりは、作品賞でも評価される作品に。
前哨戦のムードから『her』が有力だが、役者の演技を引き出した『ダラス・バイヤーズクラブ』も怖い。監督賞候補に挙がらなかったということは、演出よりも脚本評価が強いのだろう。


★脚色賞
『ビフォア・ミッドナイト』
『キャプテン・フィリップス』
『あなたを抱きしめる日まで』
◯『それでも夜は明ける』
◎『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

前作でも受賞を逃した『ビフォア・ミッドナイト』は作品自体の評価からすると、候補入りまで。技術に傾いた『キャプテン・フィリップス』も、ワインスタインパワーの恩恵を受けた『あなたを抱きしめる日まで』もここまで。
作品賞有力候補の『それでも夜は明ける』と『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の一騎打ちの様相漂う今回は、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』に期待する。


★撮影賞
『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』
◎『ゼロ・グラビティ』
『グランド・マスター』
『ネブラスカ』
『プリズナーズ』

作品賞漏れの『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』はこちらに評価が傾く。でも今年はルベツキが初受賞を遂げる年。
アジア映画『グランド・マスター』は外国語映画賞候補落ちはあっても、圧倒的な世界観を体現したビジュアライズに評価が向くが、宇宙と比べては可哀想だ。
柔らかいモノクロの画で映画の味わいを最大限に引き出した『ネブラスカ』。重厚な演出とのマッチングを見せた『プリズナーズ』どちらも魅力ある選択ではあるが、今年はエマニュエル・ルベツキが戴冠する年。圧勝間違いなし。


★編集賞
『アメリカン・ハッスル』
『キャプテン・フィリップス』
『ダラス・バイヤーズクラブ』
◎『ゼロ・グラビティ』
『それでも夜は明ける』

作品賞と直結するこの部門。3強に加え、いつも通りグリーングラス作品が候補入り。『ダラス・バイヤーズクラブ』はココに入るほど勢いがあるのかと驚嘆する。
ここも『ゼロ・グラビティ』で間違いないだろう。序盤の長回しと後半の細かいカッティングの妙味を活かした映画の作り方をすべて理解しきった編集のセンスにただただ脱帽するしかない。


★美術賞
『アメリカン・ハッスル』
◯『華麗なるギャツビー』
◎『ゼロ・グラビティ』
『それでも夜は明ける』
『her 世界でひとつの彼女』

ここから評価基準が難しい賞。だってバズ・ラーマンの登場でよくわからなくなるから。
とはいえ、映像ビジュアルではなく、いつもの人たちが強いこの部門となると、やはり『華麗なるギャツビー』か、前哨戦からすると『ゼロ・グラビティ』も負けてはいない。
難しいが『ゼロ・グラビティ』に。


★衣装デザイン賞
◎『アメリカン・ハッスル』
◯『華麗なるギャツビー』
『グランド・マスター』
『それでも夜は明ける』
『The Invisible Woman』

こちらもいつもの人たちが集まる部門。なので『The Invisible Woman』なんて他の部門で聞こえもしなかった作品が来るんです。マイケル・オコナーだから。
でも受賞は『華麗なるギャツビー』vs『アメリカン・ハッスル』の一騎打ちかと。


★メイキャップ&ヘアスタイリング賞
◯『ダラス・バイヤーズクラブ』
◎『ローン・レンジャー』
『jackass クソジジイのアメリカ横断チン道中』

これは不思議なラインナップ。ここもある意味いつものメンバーが揃うのですが、今年はリック・ベイカーがいません。作品評価がラジー賞級の2本vs急上昇中の作品賞候補。本当に『jackass』にあげていいんですか?という疑問が残る。
なので二択ですが、時々好きな人が会員にもいるヴァービンスキー作品が一歩リードか。



★視覚効果賞
『アイアンマン3』
◎『ゼロ・グラビティ』
『ホビット 竜に奪われた王国』
『スタートレック イントゥ・ダークネス』
『ローン・レンジャー』

これがどういう賞なのかは言わずもがな。なので『ゼロ・グラビティ』一択。
ただ今年の候補作は面白く、あれほど言われていた『パシフィック・リム』が落選した理由はただひとつ。ワーナーが押したのは『ゼロ・グラビティ』と『ホビット』の作品評価の著しく高い二本だから。それだけ。
でも何で『ローン・レンジャー』なのでしょうか。



★録音賞
『キャプテン・フィリップス』
◎『ゼロ・グラビティ』
『ホビット 竜に奪われた王国』
『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』
◯『ローン・サバイバー』

こちらは最も作品の幅が広い感じになりました。
アート系音楽映画と、ドンパチ映画や超大作が顔を並べる不思議な顔ぶれ。
とりあえず、技術系は『ゼロ・グラビティ』でいいのではないだろうか。怖いのは『ローン・サバイバー』の存在。


★音響編集賞
◯『キャプテン・フィリップス』
◎『ゼロ・グラビティ』
『ホビット 竜に奪われた王国』
『オール・イズ・ロスト 最後の手紙』
『ローン・サバイバー』

こちらは録音賞と似ているのでいつも混同してしまうのですが、Sound Editingです。(録音賞はSound Mixing)です。こちらは全候補作が音響効果監督組合賞に候補入りしていますので、無難にそちらの賞で最多候補入りしている『ゼロ・グラビティ』を選びます。



★作曲賞
『やさしい本泥棒』
◎『ゼロ・グラビティ』
『her 世界でひとつの彼女』
◯『あなたを抱きしめる日まで』
『ウォルト・ディズニーの約束』

上から、ジョン・ウィリアムズ、スティーブン・プライス、オーウェン・パレット、アレクサンドル・デプラ、トーマス・ニューマン。
やはり外されたハンス・ジマーですが、とりあえず49回目の候補入り(歌曲賞5回を含む)で93年以降受賞の無いジョン・ウィリアムズ、12回目の候補入り(歌曲賞1回を含む)で1度も受賞していないトーマス・ニューマンはいつも通りの候補入りとして、
スティーブン・プライスの圧勝にアレクサンドル・デプラ(6度目の候補入り)が食い下がる構図を予想する。



★主題歌賞
「Alone Yet Not Alone」『Alone Yet Not Alone』
「happy」『怪盗グルーのミニオン危機一発』
◎「Let it Go」『アナと雪の女王』
「The Moon Song」『her 世界でひとつの彼女』
◯「Ordinary Love」『Mandela: Long walk to freedom』

さすがに『ハンガーゲーム2』はここでは来ると思いましたが、無視される結果に。
とはいえ、受賞はやはりアニメ映画でいいのではないだろうか。作品賞候補作からは有力視されていた『それでも夜は明ける』ではなく『her』が入るサプライズもありつつ。
『怪盗グルーのミニオン危機一発』が来るという面白さもあり。
ところで、『Alone Yet Not Alone』という作品を初めて耳にしましたが。




★長編アニメーション賞
『クルードさんちのはじめての冒険』
『怪盗グルーのミニオン危機一発』
◎『アナと雪の女王』
『アーネストとセレスティーヌ』
◯『風立ちぬ』

今年の大サプライズはここ。ピクサー神話がまたしても崩壊したのだ。一昨年『カーズ2』の候補落ちしたものの、昨年『メリダのおそろしの森』で受賞を果たして持ち直したピクサーは、今年は有力視されていた『モンスターズ・ユニバーシティ』がノミネートで弾かれるという事態に。
それでも、ディズニー作品2本(『アナと雪の女王』『風立ちぬ』)、ドリームワークス作品2本(『クルードさんちのはじめての冒険』『怪盗グルーのミニオン危機一発』)に、フランスアニメ1本が入る非常にわかり易い構図。
受賞はほぼ間違いなくディズニーに偏るだろう。まさかここでも『ウォルト・ディズニーの約束』の影響が出ることは考えづらい。


★長編ドキュメンタリー賞
◎『アクト・オブ・キリング』
『キューティー&ボクサー』
『Dirty Wars』
『the Square』
『バックコーラスの歌姫たち』

こちらもサプライズが起きた部門。
受賞も噂されていたサラ・ポーリーの『物語る私たち』が候補落ちをしたのだ。
今年は芸術が題材の作品が2本(『キューティー&ボクサー』『バックコーラスの歌姫たち』)、戦争が題材の作品1本(『Dirty Wars』)、政治的題材が2本(『アクト・オブ・キリング』『the Square』)である。昨年『シュガーマン』が圧勝したように、今年も『アクト・オブ・キリング』の圧勝で間違いはない。
この部門は、比較的芸術を題材にした作品に寛容になってきたようだ。


★外国語映画賞
『オーバー・ザ・ブルー・スカイ』(ベルギー)
◯『偽りなき者』(デンマーク)
◎『The Great Beauty』(イタリア)
『The Missing Picture』(カンボジア)
『Omar』(パレスチナ)

ダニス・タノヴィッチの『鉄くず拾いの物語』が落選した今回。すでに一次選考の時点でアスガー・ファルハディ『the Past』やハイファ=アル・マンスール『少女は自転車にのって』といった有力候補が落選する波乱の様相を見せたが、蓋を開けてみれば順当な候補。最終選考の9本中6本がヨーロッパ作品だっただけに、残りの3本に期待が集まったわけだが、ハニ・アブ・アサドのパレスチナ作品『Omar』が滑り込み、中東枠を確保し、リティー・パニュ『the Missing Picture』がウォン・カーウァイ『グランド・マスター』を下してアジア映画として名乗りを上げたという構図か。
ただ受賞はヨーロッパ作品にいくのが定説。本命はパオロ・ソレンティーノ『the Great Beauty』。ヨーロッパ3作品の中で最もその国の特徴を描き出している点が強い。
相手はトマス・ヴィンターベア『偽りなき者』だろうか。フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンの『オーバー・ザ・ブルー・スカイ』も侮れない。


★短編実写賞
『Aquel No Era Yo』
◯『全てを失う前に』
◎『Helium』
『Do I Have to Take Care of everything?』
『The Voorman Problem』

見事にヨーロッパ作品で埋め尽くされた今回。
上からスペイン、フランス、デンマーク、フィンランド、イギリス。
私情をいれると、ファンタジー色の強い『Helium』に受賞を期待してしまう。


★短編アニメーション賞
◯『Feral』
◎『Get a Horse!』
『Mr. Hublot』
『九十九』
『Room on the Bloom』

日本では『SHORT PEACE』の中の一篇として上映された『九十九』が単体でこちらに候補入り。
だけど受賞するのはどう考えてもミッキーマウスの映画復帰作。それ以外は考え難いけれど、一億分の一以下の確率で『ウォルト・ディズニーの約束』の影響が出るならば、『Feral』。
でもここはミッキーマウスというヒーローを押さなければ。


★短編ドキュメンタリー賞
『Cave Digger』
◎『Facing Fear』
『Karama has no Walls』
◯『The Lady in No.6』
『Prison Terminal: The Last Days of Private Jack Hall』

非常に難しいこの部門。
題材としては、『The Lady in No.6』なのだが、近年の傾向的に『Facing Fear』か。『Karama has no Walls』も可能性充分。



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