【予想】第86回アカデミー賞各部門予想3:助演男優賞

さて。今回は助演男優賞と助演女優賞の両部門をそれぞれ簡潔にまとめてみようと思います。
近年は両部門共に、前哨戦からの圧勝の勢いに乗せてそのまま受賞するケースが増えていましたが、昨年は助演男優賞でまさかのどんでん返しがありましたね。
一方で助演女優賞は前哨戦からの圧勝劇と、もしかしたらこのふたつの部門はかなり極端なのでは。
しかしながら、一人確実に強い者がいても、ノミネート5人を選ぶのはかなり難易度の高いのがこの部門です。慎重に選んでみましょう。


まずは助演男優賞。
近年の受賞結果は以下の通りです

第85回 クリストフ・ヴァルツ『ジャンゴ 繋がれざる者』
第84回 クリストファー・プラマー『人生はビギナーズ』
第83回 クリスチャン・ベイル『ザ・ファイター』
第82回 クリストフ・ヴァルツ『イングロリアス・バスターズ』
第81回 ヒース・レジャー『ダークナイト』

安心してください。今年はクリス〜みたいな名前の人は有力候補に入っていませんので。

近年の受賞傾向は
・悪役強い!
・悪役じゃなければ主人公の父親や兄弟、あとは父親のような役割のキャラクター

ノミネート傾向はまったく掴めないのが現状です。
もっとも、最近は作品賞の枠が増えたので、その分作品賞候補作からの入選が増えていますが、
それでも
第85回 フィリップ・シーモア・ホフマン『ザ・マスター』
第83回 ジェレミー・レナー『ザ・タウン』
第82回 マット・デイモン『インビクタス』
のように、作品があと一歩で作品賞候補漏れしたようなところからもきちんとノミネートされたり、

第84回 ニック・ノルティ『Warrior』
第82回 ウディ・ハレルソン『メッセンジャー』
    クリストファー・プラマー『終着駅』
    スタンリー・トゥッチ『ラブリーボーン』
第81回 ロバート・ダウニー・Jr.『トロピックサンダー』
のように作品賞とは遠縁の作品からの候補で埋め尽くされる年もあるから、これは非常に予想がしづらい。

それでも、あくまでも下馬評をある程度信じていいものかと思える。

そうなると、まず最有力候補はマイケル・ファスベンダー『12Years a Slave』だ。


自身の出世作である『Hunger』、そして『SHAME』につづいてスティーブ・マックイーン監督作品に出演する彼は、主人公を酷使する役回りで、まさにこの「最優秀悪役賞」には打ってつけの存在。『SHAME』での主演男優賞候補漏れの雪辱を晴らすのはここしかない。

しかしその前に立ちはだかる強敵は、間違いなくジャレッド・レト『ダラス・バイヤーズクラブ』である。
代表作『レクイエム・フォー・ドリーム』では彼の母親役を演じた名女優エレン・バーステインがオスカー候補にあがるも、彼自身は未だにこのような賞レースとは無縁の存在。主演男優賞でマシュー・マコノヒーが挙がるならば、彼も挙がって当然の役回りである。よもや、受賞の可能性も充分にある。


ただ、問題がこの二人以外にLOCKと断言できる役者がいないということだ。
以下、ノミネート可能性の高い役者をピックアップすると、

トム・ハンクス『ウォルト・ディズニーの約束』

マシュー・マコノヒー『MUD/マッド』

ダニエル・ブリュール『ラッシュ プライドと友情』

ジョン・グッドマン『Inside Llewyn Davis』

バーカド・アブディ『キャプテン・フィリップス』

そして、ジョージ・クルーニー『ゼロ・グラビティ』

おそらくこの中から3人挙がることだと思います。


まず順番に取捨選択をしていくと、主演男優賞候補の可能性が大きいトム・ハンクスとマシュー・マコノヒー
過去85回の歴史中(といっても助演男優賞ができたのが第9回から)で、主演と助演の両方に同じ年に候補入りしたのはなんと
第17回 バリー・フィツジェラルド『我が道を往く』(主演ノミネート、助演受賞)
第65回 アル・パチーノ『セント・オブ・ウーマン』(主演受賞)『摩天楼を夢見て』(助演ノミネート)
の2例のみ!しかもバリー・フィツジェラルドの年は同一作品で両方にノミネートが可能だった時代の話であるため、例外中の例外。

つまりはそれ以前に4度の主演、2度の助演候補に挙がっていたアル・パチーノが7度目の正直のために両部門候補入りして片方受賞したということになり、しかもそれ以後1度もオスカーと縁がないのだから、あまりいいことではない。
今年はどちらかといえば5度の候補で2度主演男優賞を受賞しているトム・ハンクスのほうが可能性は大きいか。

つづいてダニエル・ブリュール。ドイツ人俳優というか、ヨーロッパ系の俳優が毎年ノミネートされているのは好印象。しかし、今年は同じドイツ人俳優のマイケル・ファスベンダーが候補入り確定状態なのがどうか……。

そしてバーカド・アブディ。この部門は意外とスター役者や幾度とノミネート止まりだった役者が輝く舞台。まったくの無名役者はどんなに好演を見せても、昨年のドワイト・ヘンリー(『ハッシュパピー バスタブ島の少女』)のように候補漏れする可能性は充分

そうなると、ジョン・グッドマンジョージ・クルーニーが残る計算になる。
昨年作品賞に輝いた『アルゴ』で好印象を残したグッドマンと、陰ながらプロデュース業に務めたクルーニーの二人。候補入りしたら面白そうだが、グッドマンにはまず大事だったインディペンデントスピリット賞の落選が大きい
安泰なのはクルーニーだけなのか???

ちなみに、昨年はオスカー受賞経験者だけで5枠固められたこの部門。
全員がオスカーノミネート経験もなかった年は第68回まで遡らなければならず。
今年の有力どころではトム・ハンクスとジョージ・クルーニー以外はノミネート経験すらない。ということは、どちらかは必ず挙がるということか……それとも17年ぶりの事態になるのか。


予想はこちら↓↓
(LOCK)
◎ ジャレッド・レト『ダラス・バイヤーズクラブ』
◯ マイケル・ファスベンダー『12Yeas a Slave』

(以下から3枠)
▲ トム・ハンクス『ウォルト・ディズニーの約束』
△ ジョージ・クルーニー『ゼロ・グラビティ』
△ ダニエル・ブリュール『ラッシュ プライドと友情』
ジョン・グッドマン『Inside Llewyn Davis』
バーカド・アブディ『キャプテン・フィリップス』
マシュー・マコノヒー『MUD/マッド』


ちなみに主演助演両方とも『ダラス・バイヤーズクラブ』を本命にしましたが、この両部門とも同じ作品が受賞したのは
第17回『我が道を往く』
第19回『我等の生涯の最良の年』
第32回『ベン・ハー』
第76回『ミスティック・リバー』
の四度のみ。しかも三本は作品賞受賞作だからちょっとあれかも……。
(直近に受賞予想出すから変えますw)


思いのほか長くなってしまったので、助演女優賞はまた次回ということで。


★★★次回は今度こそ助演女優賞を予想します。





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